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【人】石橋英明さん「すべての世代に運動機能維持の大切さを伝えたい」

No.4686 (2014年02月15日発行) P.95

登録日: 2014-02-15

最終更新日: 2017-09-19

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石橋英明さん(Ishibashi Hideaki

ロコモティブシンドロームの普及・啓発に努める

1961年鳥取県生まれ。88年東大卒。東京都老人医療センター、米国ワシントン大留学などを経て、2001年東京都老人医療センター整形外科医長。04年伊奈病院整形外科部長。05年NPO法人高齢者運動器疾患研究所を設立。

すべての世代に運動機能維持の大切さを伝えたい

病院での外来・入院患者の診察、人工関節などの手術をこなしながら、自ら主宰するNPOで中高年者向けに運動器疾患の知識や運動習慣の大切さを啓発する講演活動に取り組んでいる。講演会の企画から会場の確保、司会に至るまでをひとりで手掛け、著書の執筆、テレビ出演の機会も多い。

「すべて病院の仕事と並行でしんどいですが、運動機能の維持という中高年者の健康にとって本質的に大切なことに関わっているので、やりがいを感じます」

大学卒業後、整形外科に入局して以来、一貫して骨粗鬆症をはじめとする中高年者の運動器疾患の治療と研究に携わってきた。一度折れたら寝たきりという意味で「末期的骨折」と呼ばれていた大腿骨近位部骨折の機能予後研究に従事した際、患者に9カ月間軽い運動をさせただけでADLが改善したのをみて、筋力の維持・回復の重要性を痛感した。「整形外科外来での中高年者の訴えは骨粗鬆症、変形性膝関節症、変形性脊柱管狭窄症で8割を占めます。皆さんが知っておくべき疾患の知識があっても、短い診療時間内にすべてを伝えるのは不可能です。それならば、と啓発講演会を始めたわけです」

初の講演会が好評を呼び、2005年には講演活動に力を入れるためにNPOを設立。埼玉・東京を中心に、招聘講座も含めると年50回近く講演会や講習会を開催している。

2007年に日本整形外科学会が「ロコモティブシンドローム」の概念を提唱。石橋さんは、ロコモになる危険性を評価する検査法「ロコチェック」と、予防法「ロコトレ」の作成に関わった。現在も同学会の「ロコモチャレンジ!推進協議会」のメンバーとして、ロコモの普及や研究に取り組んでいる。

「それまで自分のやってきたテーマに『ロコモ』という名前が付いてありがたく思っています。運動機能の維持はロコモだけでなくメタボリックシンドロームや認知症の予防にもつながります。今後は中高年者だけでなく、若年者も含めたすべての世代に普及・啓発の対象を広げていきたいと思っています」

講演会・講習会には年間約2000名が参加。内科系など整形外科以外の医師や理学療法士も登壇する

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