株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(4)その他の治療薬関連骨粗鬆症 [特集:続発性(薬物性)骨粗鬆症の予防と対応]

No.4851 (2017年04月15日発行) P.47

竹内靖博 (虎の門病院内分泌センター部長)

登録日: 2017-04-14

最終更新日: 2017-04-12

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • アロマターゼ阻害薬治療やアンドロゲン遮断療法(ADT)による骨折リスク上昇に対しては,積極的な骨粗鬆症治療が望ましい

    高齢者が長期間使用する頻度の高い生活習慣病などの治療薬による骨折リスク上昇に対しては,その病態などを考慮して予防策を立てることが望ましい

    1. 多くの薬剤が骨粗鬆症に影響

    骨粗鬆症の原因は多彩である。最近では多くの薬剤が骨およびカルシウム代謝に影響し,その結果として骨粗鬆症や骨折の危険性を高めることが明らかにされている。本稿では,ステロイド以外の薬剤性骨粗鬆症について概説する。

    2. アロマターゼ阻害薬

    閉経後乳癌の術後ホルモン療法における第一選択はアロマターゼ阻害薬であり,最近では5年以上の長期にわたり継続されることが一般的となっている。アロマターゼ阻害薬は,脂肪組織を中心とした生体内でのアンドロゲンからエストロゲンへの変換を強力に抑制し,閉経後の女性においても血中エストロゲン濃度をさらに低下させる作用を有する。低いレベルにおいても,その主要成分である血中エストラジオール濃度は閉経後女性の骨代謝と密接に関連しており,その低下と骨密度低下との間には相関が認められる1)

    アロマターゼ阻害薬治療の開始に伴い,骨密度はしだいに低下するのみならず,骨折リスクの上昇が認められる2)。癌治療患者であることと,ホルモン感受性乳癌患者であることなどから,テリパラチドや選択的エストロゲン受容体修飾薬(selective estrogen receptor modulator:SERM)が骨粗鬆症治療薬として選択されることは稀であり,ビスホスホネート製剤もしくは抗RANKL抗体(デノスマブ)が用いられることが多い。

    乳癌治療においては,その骨転移治療のためにビスホスホネート製剤としてゾレドロン酸を使用することが一般的であり,薬剤性骨粗鬆症の治療においても本薬剤が広く用いられている3)。標準的な治療法では,6カ月ごとにゾレドロン酸4mgを点滴静注する。骨密度の変化で評価する場合,骨密度が一定レベルまで低下した後にゾレドロン酸を開始するよりも,アロマターゼ阻害薬の開始と同時にゾレドロン酸を併用するほうが,最終的な骨密度低下の抑制効果はまさることが報告されている4)

    アロマターゼ阻害薬投与中の骨折頻度については,ゾレドロン酸による骨折抑制効果が期待される結果が報告されている5)。しかしながら,ゾレドロン酸の投与法が,閉経後骨粗鬆症患者に対する5mgの年1回点滴とは異なるため,その評価は困難である。

    ゾレドロン酸と同様に,デノスマブも閉経後骨粗鬆症のみならず乳癌の骨転移に対する治療薬として広く用いられている。アロマターゼ阻害薬による骨粗鬆症に対するデノスマブの投与法は,閉経後骨粗鬆症と同様の6カ月ごとに60mg皮下注で臨床試験が実施されている。ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験において,デノスマブは6年間にわたり臨床骨折を50%減少させることが示された(図1)6)

    残り3,130文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top