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在宅看取り・在宅療養・独居看取りを阻んでいる制度的な問題点 【要介護度の決定までに時間がかかること,介護保険適用における年齢制限など】

No.4833 (2016年12月10日発行) P.55

李 美於 (神戸市立医療センター中央市民病院 緩和ケア内科医長)

森本有里 (森本医院院長)

登録日: 2016-12-07

最終更新日: 2016-12-01

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  • 在宅看取り,在宅療養,独居看取りを阻んでいる制度的な問題点はあるでしょうか。患者側の病院信仰・入院信仰にはいつも暗澹たる思いを抱いていますが,意識改革は可能でしょうか。当院のような研修医指導病院では,「2025年問題」の解決に向けてどのような取り組みが必要でしょうか。森本医院・森本有里先生にお伺いしたいと思います。

    【質問者】

    李 美於 神戸市立医療センター中央市民病院 緩和ケア内科医長


    【回答】

    在宅療養や在宅看取りをするときに重要なのは,十分な介護力があること,もしくは介護力が不足している部分にヘルパーや家政婦を頼める金銭的な余裕があることです。家族は必ずしも必要ではありません。在宅で療養していた人が入院する一番の理由は「介護力不足」です。

    「介護力」を介護保険の利用によって補える場合は問題ありませんが,癌の末期の場合は困難を伴います。癌の末期は,自立していた人が急速に要介護状態になるため,介護保険を未申請の場合は新規申請を,申請していても要介護度が低く認定された場合は改めて区分変更申請をしなければなりません。自治体により差はありますが,どちらの場合も要介護度が決まるまでに約1カ月かかるため,その前に死亡してしまうことがあります。そのようなことがないように,神戸市では癌の末期の場合は認定結果が2週間以内に出るよう努力しています。しかし,それでも間に合わない場合があります。

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