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携帯型超音波画像診断装置を用いた診断および治療の実際(便秘)[私の治療]

No.5275 (2025年05月31日発行) P.38

松本 勝 (石川県立看護大学共同研究講座教授)

真田弘美 (石川県立看護大学学長)

登録日: 2025-06-02

最終更新日: 2025-05-27

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  • 従来,超音波画像診断装置(エコー)を用いた検査は,医師や臨床検査技師,診療放射線技師などにより病院・施設で実施されるが,検査に用いられる装置は高機能であり,大型の据え置きタイプであることが多い。近年,装置の小型化・高画質化が進み,在宅医療において携帯型エコーが使用されるようになっている。使用するのは在宅医療に関わる医師や看護師である。在宅医療において,特に患者の生活に深く関わる看護師が,その評価に難渋し,患者からの治療・ケアのニーズが高いのが便秘である。エコーによる便秘の評価は国内のガイドラインでも推奨されている1)2)ほか,手順の標準化も進められている3)4)。現在ではAIアシスト機能を備えた携帯型エコーを用いることで,超音波(エコー)検査の経験が浅い医療職でも簡便に直腸便貯留を評価することが可能になっている。

    ▶アセスメントのポイント

    従来の身体診査技術(問診,視診,聴診,打診,触診)を基本とし,それらに加えてエコー検査を実施し,症状と合わせて画像から状態の把握・アセスメントを行う。

    エコーはできるだけ高画質(分解能の高い)のものを用いる。在宅で便秘を評価すべき対象に日常生活自立度の低い人が含まれる可能性が高いことを考えると,ベッドサイドに持ち運びのできる,携帯型エコーが使用できることが望ましい。プローブは深部組織(腹部)を鮮明に描出できる,周波数が2~5MHzの帯域幅を備えたコンベックス型を使用する。

    エコーを用いた観察は直腸便貯留の評価を基本とし,図1のフローチャートに基づいて実施する。このフローチャートにより,便秘の疑いがある者に対しエコーを用いて直腸便貯留所見の有無を評価することで「便貯留あり」「硬便貯留あり」「便貯留なし」に大別し,その後の治療や排便ケアを検討する。まずはエコーの横断像で便貯留の有無と性状を確認し,便貯留がある場合は,その後,縦断像でその位置,量を確認する。患者の症状と直腸便貯留状況をふまえてアセスメントを行う。


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