日本は,核家族化が進み,超高齢社会となり,老々世帯や高齢者の独居世帯も増えてきました。在宅医療を開始しても,その後,日常生活動作(ADL)の低下や状態の悪化があったときに,在宅療養がそのまま継続できないと予想される方もたくさんおられます。そんなとき,施設に入ったり,家族が同居したりする選択肢があれば良いのですが,独居生活を続け,最期の看取りまで自宅を望まれる方もおられます。たんぽぽクリニックではこれまで,独居での看取りも数多く行ってきました。今回はその経験と,実際のケースを通して,独居での看取りについて考えていきます。
在宅医療を行っている人たちが,患者さんの独居での看取りをめざす際に様々な医療サービスや介護サービスを網羅して提供することは当然として,独居での看取りには,その前提となる最低限の3つの条件があると私は思います。
これは,何よりも前提となる要素です。患者さん本人が自宅での看取りを望んでいたとしても,ご家族がその決断に同意し,ともに最期を見届ける覚悟があるかどうかが,きわめて重要です。ご家族の同意がなければ,医療機関や施設での対応を検討せざるをえない状況が生じるため,支援の初期段階で,患者さん本人とご家族双方の意向を十分に確認することが大切です。双方の意思が一致して初めて,在宅での穏やかな最期を迎えるための環境が整うのです。