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在宅医療における専門医との連携[私の治療]

No.5277 (2025年06月14日発行) P.38

白髭 豊 (白髭内科医院院長)

登録日: 2025-06-16

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  • がん患者における病院専門医とかかりつけ医による連携について述べる(がん患者以外であっても基本的な流れは同様である)1)。積極的治療が不可となったがん患者が地域に戻るにあたっては,在宅医療や介護保険サービス,緩和ケア病棟や地域包括ケア病棟などの医療資源につなぐ。この際,病院での治療の早い段階から,地域のかかりつけ医との併診体制を整えておくことが推奨される。
    併診体制ができれば,発熱などトラブルを生じた際のトリアージや初期対応を,かかりつけ医が担当することも可能になる。また,たとえば長時間かけて通院したがん患者が,採血の結果,化学療法が延期となることがある。しかし,化学療法の前日に地元の診療所で採血を行い,その結果を病院に伝えることができれば,患者の負担を軽減できる。さらに,病院医師と在宅緩和ケアに取り組む診療所との連携体制が整っていれば,通院が難しくなり治療が困難になった場合にも,必要に応じて訪問診療へ移行することで,両者間の役割分担や,主治医機能を切れ目なく引き継ぐことが可能になる。このように,がん診療チームに早い段階からかかりつけ医を加えておくことには,大きなメリットや可能性がある。
    つまり,専門性の高い疾患の医学管理については,これまで通り専門医である病院主治医が担当し,慢性疾患の管理や発熱など併発症の緊急性の判断や初期対応,そして医療・介護連携の司令塔機能は地域のかかりつけ医が担当するという形が,病院専門医とかかりつけ医による連携体制として望ましいと言える。

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