分子標的治療薬をはじめとした治療薬の進歩,造血幹細胞移植の成熟等により,白血病,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS),悪性リンパ腫,多発性骨髄腫など,代表的な血液疾患はいずれも生存率の著しい改善がみられている。一方で,外来患者数は累積的に増加していくことになり,高齢化による患者増加と相まって,基幹病院の外来・病棟に負荷がかかっている。このような状況から,2人主治医制をもとにした地域連携が求められるが,病院の逆紹介率でも血液内科は一般的に低い傾向がある。地域医療に血液内科の対応に慣れた医師(community hematologist)が非常に少ないことも,病診連携を難しくする要因である。
免疫不全状態にある患者も多く,発熱性好中球減少症への対応が重要となる。必要に応じて抗菌薬の予防内服を行ったり,MASCCスコア等を参考に広域抗菌薬の点滴の準備が求められたりする場合があり1),在宅医療で担う範囲を明確にしておく必要がある。
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