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オピオイド持続静注の実際[私の治療]

No.5274 (2025年05月24日発行) P.36

首藤真理子 (みなとホームケアクリニック院長)

登録日: 2025-05-25

最終更新日: 2025-05-20

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  • 終末期には,消化器症状や嚥下力の低下,傾眠傾向などによって経口摂取が困難となり,鎮痛薬の内服が難しくなる。また,がん患者では,急激に疼痛が増強したり,間欠的な激痛が出現したりすることがある。そういったときに,患者自己調節鎮痛法(patient controlled analgesia:PCA)が有用で,通常はPCAポンプを用いてオピオイド注射薬を皮下もしくは静脈から投与する。
    オピオイド持続静注は早く確実に投与可能で,急激な痛みの増強にも速やかに対処できるが,末梢血管からの投与では点滴漏れが懸念される。終末期の患者では,末梢ルートの再確保が困難なことも少なくないため,在宅では中心静脈ポートを設置している患者で行うことが多い。


    ▶治療の実際

    オピオイド注射薬を充填したPCAポンプを使用し,以下の3つを設定する。

    ①持続投与速度:持続する痛みを取り除くために持続投与速度を設定する。

    ②疼痛時レスキュー投与量:突出痛発現時に患者の要求に応じて,頓用で追加する鎮痛薬の投与量を決定する。通常は1時間投与量を1回のレスキュー投与量に設定する。

    ③ロックアウトタイム:過量投与を防止するため,レスキューを1回注入した後に一定の時間内は注入できないようにする。通常は10~20分に設定する。

    患者や家族が痛みの出現に合わせてPCAボタンを押すことでオピオイド注射薬を追加投与できるので,速やかに苦痛症状をコントロールできる。

    オピオイドの投与経路を経口から静注へ変更する際は,オピオイドの換算が必要になる。換算表はあくまでも目安であり,換算表を目安に決定した変更後の投与量から,個々の患者の痛み,副作用を観察した上できめ細かい調節を行う。

    自験例では,過量にならないよう少なめに持続投与量を換算し,PCAの使用状況に応じて増量している。また,1日量を24の倍数にすると1時間量が整数になり,投与量が計算しやすくなる。

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