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人工肩関節手術の適応拡大 【最近,わが国においてもリバース型人工肩関節が導入されたが,周術期の感染管理には注意】

No.4788 (2016年01月30日発行) P.59

廣瀬聰明 (札幌医科大学整形外科)

登録日: 2016-01-30

最終更新日: 2016-10-26

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わが国では一次性の変形性肩関節症が少ないこともあり,全人工関節手術に占める人工肩関節の割合は低く,約2%と言われている。
2014年4月にOECD加盟国の中では最後に,わが国がリバース型人工肩関節を導入した。リバース型人工肩関節とはその名の通り,上腕骨頭側が凹んだ形をし,肩甲関節窩側が半球形に突出した形をした半拘束型の人工関節で,その最も良い適応は,疼痛がなくても自動挙上できない一次修復不能な腱板広範囲断裂とされている。
腱板広範囲断裂では腱板機能が破綻することで上腕骨頭は上方に変位し三角筋のレバーアームが小さくなり,上腕骨頭を求心位に保てなくなるため,しばしば自動挙上ができなくなる。これまではパッチ法や腱移行術,人工骨頭などの手術を行ってきたが,特に高齢者ではその成績は安定していない。リバース型人工肩関節は関節の回旋中心を肩甲骨側に固定し,半拘束型にすることで求心位を獲得し,さらに上腕骨を引き下げることで三角筋のレバーアームを大きくして三角筋を効かせて挙上させようというものである。
近年は粉砕が高度な上腕骨近位端骨折やその変形治癒例などに適応が広がっており,欧米では通常型の人工肩関節よりもリバース型のほうが市場に占める割合が高くなっている。
しかし術中骨折や術後感染,脱臼などの合併症発症率が16%と高率で,術後10年のsurvival rateが92%と低いことから,今後インプラントデザインの改善や術前プランニング,周術期の感染管理などの検討が必要である。

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