【Q】
認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の病態に対する六君子湯,ノビレチン高含有のN陳皮の有効性,奏効メカニズムについて,文献を併せて。 (長野県 M)【A】
2014年9月2日現在,PubMedで検索した結果,該当する論文はない。査読のない和文の商業誌では,原田ら(文献1)が認知機能検査(MM SE)>23の認知症患者を含む高齢者23名において,六君子湯4週間投与後にMMSEおよび近時記憶が改善したと報告し,六君子湯がグレリンの分泌を促したことにより注意・集中力が向上したためであると推測している。N陳皮のMCIに対する臨床試験は知られていない。ノビレチンを高含有する陳皮(N陳皮)のアルツハイマー病に対する奏効メカニズムは,以下のようなものが知られる。動物実験ではノビレチンの効果として,(1)記憶障害が改善する(文献2,3) ,(2)Aβの脳内蓄積を抑制する(文献3),(3)Aβの神経毒性を抑制する(文献4),(4)コリン作動性神経の変性を抑制する(文献4),(5)低分子性でニューロトロフィック作用を示す(文献5),などが示された。
さらに,海馬神経細胞におけるCRE依存的転写促進活性は,ノビレチン単体よりもN陳皮ではるかに大きく,N陳皮中のノビレチン以外の微量物質シネンセチンなどの共存がこの働きに寄与していることがわかっている(文献6)。
【文献】
1) 原田克彦, 他:漢方医. 2014;38(1):40-3.
2) Nakajima A, et al:J Pharmacol Sci. 2007;105 (1):122-6.
3) Onozuka H, et al:J Pharmacol Exp Ther. 2008; 326(3):739-44.
4) Matsuzaki K, et al:Neurosci Lett. 2006;400(3): 230-4.
5) Nagase H, et al:Biochemistry. 2005;44(42): 13683-91.
6) Kawahata I, et al:J Neural Transm. 2013;120 (10):1397-409.