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頸肩腕症候群[私の治療]

No.5234 (2024年08月17日発行) P.50

池口良輔 (京都大学医学部附属病院リハビリテーション科教授)

登録日: 2024-08-15

最終更新日: 2024-08-14

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  • 首から肩,腕にかけて痛みやしびれなどの症状があるが,他の明らかな疾患を除外できた場合に,頸肩腕症候群と言われる。同じような症状を呈する,他の重大な疾患の除外診断が重要である。保存的治療が中心になる。

    ▶診断のポイント

    頸椎症,頸椎後縦靱帯骨化症,頸椎椎間板ヘルニア,胸郭出口症候群,手根管症候群,悪性腫瘍,感染症,肩腱板断裂,五十肩,骨折,脱臼,腕神経叢損傷などを除外診断することが重要である。

    【症状】

    首から肩,腕にかけての痛みやしびれなどの症状。

    【検査所見】

    単純X線:頸椎6方向では,アライメント異常と,椎間板裂隙の狭小化や骨棘形成の有無を確認する。肩関節2方向では,肩甲上腕関節の関節裂隙狭小化,骨棘形成の有無,骨折の有無を確認する。

    MRI:頸椎MRI検査では,外傷,感染や腫瘍を鑑別し,椎間板,脊髄,神経根の評価を行う。肩関節MRIでは,腱板断裂の有無の評価を行い,外傷,感染や腫瘍の有無を確認する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    保存療法が基本である。患者に十分な問診をし,誘因となる上肢の繰り返し動作,書字やパソコンでの長時間の作業,スマートフォンの操作,重量物の持ち運びなどがあるかを確認して,そのような動作を可能な範囲で減らすように勧める。温熱療法も効果がある場合があり,入浴でよく温めるように,冬の寒い日は保温するように勧める。並行して,投薬も行う。頸肩腕症候群は,他の疾患の除外診断が重要であるので,「診断のポイント」で述べたような検査で何か所見があれば,それが症状の原因になっているので,専門家へ紹介する。

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