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【書評リレーマラソン①】『解剖から理解する頚椎診療』

大鳥精司 (千葉大学大学院医学研究院整形外科学教授)

登録日: 2023-07-26

最終更新日: 2023-07-26

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2023年7月発売の 『解剖から理解する頚椎診療』(編著:遠藤健司・三原久範) について、頚椎診療のトップランナーに読んでいただき、それぞれの視点から感想と、「私の頚椎診療」という題材で、書評という形でまとめていただきました。
頚椎の数「7」にちなんだ、7名のスペシャリストによる「書評リレーマラソン」と題したこの連載を通じて、トップランナーが大切にする頚椎診療への想いを感じ取っていただけると幸いです。


「解剖から理解する頚椎診療」書評リレーマラソン 第1頚椎(走者)

大鳥精司(千葉大学大学院医学研究院整形外科学教授)

①本書を読んで

本書は,遠藤健司先生,三原久範先生が日本脊椎脊髄病学会のアジアトラベリングフェローで意気投合し,2012年に共著で『頚椎診療のてびき』を出版したことに端を発しています。その11年後に,最近の疾患概念,診断方法,治療法の変化を盛り込んで,満を持して発刊されたのが本書です。

両先生とは昔から懇意にさせて頂いておりますが,研究や手術に対する熱い思い,さらに,考え方の一貫性は,世界でも随一と思っております。詳細な画像,エコーなどの最近の話題,切れ味鋭いひと口メモなど,ご自身の経験,エビデンスに基づいた内容が多い書籍となっております。
読んでいて一番感じたのは,教科書でありながら,あれよあれよという間に,時の経つのを忘れて読破してしまう,1冊の文学書であるということです。両著者の執筆の魔術がかかった1冊であります。頚椎のスペシャリスト,初心者,多くの読者に裨益すると信じております。

②私の頚椎診療

私が頚椎診療で重要視している点は,神経学的所見と,画像所見の一致です。しばしば相違にぶつかりますが,基本的にはその合致が診療の基本となります。
まずは保存療法が優先されますが,難治症例には手術が適応となります。
前方・後方手術の議論は絶えませんが,わが国の手術技術は世界一と思っておりますので,様々な合併症を考慮しながら,加療を進めております。

交通事故後の頚椎捻挫は全世界的な社会問題でしょう。医師・患者ともに,多くの時間を要します。自賠責の報告では,わが国における,画像検査の多発が問題となっており,多くの医療費が費やされております。
また,その結果,遷延する頚部痛を助長しております。いかに,この点を解決するかも今後の課題でしょう。
最近の話題として,エコーを使用したブロックがあります。今後,この領域は必須となると思います。是非とも若手の多くの先生がマスターすべき手技と考えております。

☆試し読みはこちら
>>「解剖から理解する頚椎診療」


「解剖から理解する頚椎診療」書評リレーマラソン

第2頚椎(走者)鷲見正敏(真星病院名誉院長)
 

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公益社団法人 地域医療振興協会 市立大村市民病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 総合内科・消化器内科・呼吸器内科・神経内科・整形外科 等 若干名
勤務地: 長崎県大村市

急性期から回復期、維持期までの疾患の治療・管理はもとより、予防医学としての健診事業にも力を注いでいます。
ハイケアユニットから地域包括ケア・回復期リハ病棟まで有しており、地域の皆様に対して急性期から回復期まで切れ目のない医療、充実したリハビリサービスを提供できる体制が整っております。
基幹型臨床研修指定病院として医師の教育にも寄与しています。当協会のコンセプトの1つである離島医療の支援も積極的に行っています。

救急医療体制については、1次から3次まで幅広く患者さんを受け入れています。
特に3次救急患者さんに関しましては、症状に応じて長崎医療センター及び救急隊と連携をとりながら、必要に応じた救急対応を行っています。また、2次までの救急患者さんに関しては、専門医と総合医が協力し対応しています。
救急医療についても二次救急を担っています。緊急の大血管手術やバイパス手術も行っており、長崎県内外から高い評価を受けています。
なお、日当直体制では、内科・外科系及び循環器系で 救急体制を整えています。
現在、内科・外科系の日当直体制は、内科医師が火曜日・木曜日・土曜日 の当直帯及び土曜日・日曜日の日直帯、外科系医師が月曜日・水曜日・金曜日・日曜日の当直帯に救急対応を行っています。
また、大村市夜間初期診療事業(内科系・小児科)に参画しています。
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