ペルテス(Perthes)病は骨成長終了前の大腿骨近位骨端部に生じる阻血性の骨壊死であり,骨端症のひとつに分類される。骨端線の存在する2~13歳に発症するが,好発年齢は6~8歳である。男児に多く(男女比4~6:1),多くは片側性で左右差はみられないが,10~20%に両側発生(通常,数カ月~1年以上の間隔で発症)もみられる。病因は明らかではなく,外傷,炎症,凝固異常,静脈還流異常など,様々な説がある。一般的に,活発で多動の小柄な小児に多いとされる。
臨床症状は主に疼痛,跛行であるが,疼痛は訴えず跛行のみを主訴とする症例も少なくない。また,股関節部ではなく大腿部痛や膝周囲痛を訴えることも多く,しばしば膝周囲のみが検査されて診断が遅れるので,注意が必要である。理学的所見としては股関節可動域(特に屈曲・外転・内旋)制限,殿筋~大腿筋の筋萎縮などに注意する。血液・生化学検査所見に異常は認めない。
画像診断の基本は単純X線正面,側面像を左右比較することである。病初期には側面像で骨端前方にわずかな扁平化,前上部の細い線状陰影(軟骨下骨折線)などを認める。その後,病期の進行とともに3~4年かけて,骨端部には圧潰,骨吸収,骨硬化,分節化といった変化が観察され,その後に骨新生,再石灰化,リモデリングと進んで,新たな頸部~骨頭形態が完成する。X線学的重症度の判定としては,壊死期~分節期の正面像と側面像から壊死領域の広がりを評価するCatterall分類や,分節期の正面像でlateral pillar(外側支柱)の圧潰程度を評価するHerring分類1)が使用される。
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