株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

骨髄炎[私の治療]

No.5239 (2024年09月21日発行) P.50

新倉隆宏 (兵庫県立西宮病院整形外科部長/診療科長)

登録日: 2024-09-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 骨髄炎は,細菌をはじめ抗酸菌,真菌など病原体が骨に感染して起こる骨の炎症,およびそれに伴う骨の破壊性変化である。このうち急性発症するものを急性骨髄炎,慢性化しているものを慢性骨髄炎と言う。急性骨髄炎が過去にあり,それが慢性化したものが多い。感染,炎症は骨髄を中心に,骨皮質や骨膜にも生じる。
    病態は様々であるが,発症時期による分類では,発症後2週間以内を急性骨髄炎,発症後10週以上を慢性骨髄炎と考える。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    末梢骨の急性骨髄炎の患者は通常,限局性の熱感,腫脹,発赤,疼痛という局所症状に加え,発熱,全身倦怠感,易疲労感,進行すれば体重減少といった全身症状を伴うことが多い。慢性骨髄炎との主な違いは,このような全身症状を伴うか,局所症状の強弱である。慢性骨髄炎では総じて,急性骨髄炎に比べて症状に乏しい。瘻孔がある症例では,瘻孔からの排膿のみが症状であることが多い。

    【検査所見】

    血液検査:CRPや赤血球沈降速度の上昇,白血球増加などの所見を認める。ただし慢性骨髄炎では,これらがあっても軽度である。

    単純X線:骨萎縮像や骨融解像,不規則な骨硬化像,骨膜反応といった所見を認める。ただし起炎菌や炎症の程度により,顕著な所見を呈さないこともある。慢性骨髄炎では骨髄腔の閉鎖,骨梁構造の消失,骨萎縮,不規則な骨硬化像,骨皮質の肥厚などが混在し,病状の経過に応じて多彩な所見を呈する。

    CT:単純X線と同様の所見を呈する。より詳細な観察が可能になる。

    MRI:膿瘍形成があればそれを検出することや,骨外軟部組織への炎症の波及を観察することもできる。病巣の範囲を確認するには必須の検査である。ただし,MRIで異常信号のある領域すべてが骨髄炎を反映しているとは限らない。

    骨シンチグラフィ:テクネチウム99mを用いた放射性同位体による骨シンチグラフィを行ってもよい。高集積像としてとらえられることが多い。しかし,感染,骨折および腫瘍の鑑別はできない。

    細菌培養検査:血液培養を実施するとともに,症状を呈している局所において穿刺による膿瘍の吸引,または外科的デブリードマンによって深部組織検体を無菌的に採取する。複数の検体で同じ菌種が検出されれば病原体である可能性が高く,抗菌薬感受性試験を行うことで適切な抗菌薬の選択につながる。

    残り815文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top