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足がつります……[有痛性筋痙攣][骨折ファーストタッチ ─decision makingのための骨折の考え方─(35)]

No.5238 (2024年09月14日発行) P.38

海透優太 (JCHO若狭高浜病院整形外科医長/臨床研修センター長)

登録日: 2024-09-16

最終更新日: 2024-09-13

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鑑別診断

▶突然の不随意な痛みを伴う筋肉(特にふくらはぎ)の収縮を,「有痛性筋痙攣」と言います。通称は「こむら返り」です。休息中(特に睡眠中)に起こることが多いです。

▶鑑別には,むずむず脚症候群が挙げられます。その場合には通常痛みはありませんが,足を動かしたい衝動が現れます。一般的に夕方に起こりやすいとされ,目に見える筋痙攣はありません。

▶また,ジストニアミオクローヌスは不随意運動や不快感を伴います。

腰部脊柱管狭窄症閉塞性動脈硬化症は,跛行症状(歩いていると足が重だるくなり歩行しにくくなる)を認めたときに強く疑いましょう。

▶有痛性筋痙攣の有病率は,年齢とともに上昇すると報告されています。また,妊婦にも起こりやすく,30~40%に発生します。胎児が大きくなるにつれて重心が前に移るため,前傾歩行気味になり,普段よりふくらはぎの筋肉に負担がかかることが原因と言われています。腰部脊柱管狭窄症の患者では,腰を反らすと症状が悪化するため,やや前屈で歩行することが多くなり,重心が前に移るため同様に足に有痛性筋痙攣が起こります。

基礎疾患としては,肝硬変や糖尿病などで多いと報告があります。薬剤に関連した足の痙攣の報告もあり,結合型エストロゲン〔プレマリン:更年期障害,ホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)〕,ラロキシフェン(エビスタ:骨粗鬆症),利尿薬,長時間型βアゴニストなどを内服している患者に多く報告されています。

「足がつります」⇒有痛性筋痙攣,むずむず脚症候群,ジストニア,ミオクローヌス

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