妊娠分娩期は凝固亢進状態にあり,妊娠初期,妊娠後半期,産褥期に血栓症発症の3つのピークがある。それぞれ,エストロゲンの増加や悪阻による脱水,増大した妊娠子宮による静脈の圧迫,分娩による創傷や安静などが誘因として考えられる。特に帝王切開術後に発症が多く,また,時に肺血栓塞栓症にまで至り,生命に関わる。今日ではガイドラインにも示されるなど広く知られるようになり,帝王切開後の血栓予防が広く行われるようになり,産褥期の発症頻度は減ってきている。
臨床症状ファーストであり,血液検査,特にD-dimerによるスクリーニングは勧められない。また,画像所見のみで症状がない場合に治療が有意義かどうかは議論の余地がある。
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