日本医療機能評価機構は4月15日、「医療安全情報No.221」を公表した。今回取り上げたのは、「カリウム製剤の投与方法間違い」による事故。2015年1月にも同じテーマを扱っているが、カリウム製剤の急速静注によって患者が心停止になる事例が再度報告されたことから、改めて注意喚起することにした。
医療安全情報によると、直近の事故事例では、まず循環器内科の医師がICUで治療中の患者の指示を「K補正:3.0mEq/L以下でKCL20mEq/20mLを10mL/hで投与」と入力した。
指示を見たリーダー看護師と担当看護師は患者のK値は1.8mEq/Lであったことから、KCLを20mL投与することを確認。リーダー看護師は指示通り原液で投与するため、定数配置薬のプレフィルドシリンジのKCL20mLを注射器に移し替えた。その後注射器を担当看護師に渡し、10mL/hで投与するよう伝えた。
担当看護師は医師の指示に記載された投与方法や流量を確認しないまま、中心静脈ラインから高濃度のカリウム製剤の急速静注を実施。その結果、患者は投与後に心停止を起こした。
カリウム製剤の急速静注は心停止につながるリスクがあり、機構は医療事故防止の観点から、カリウム製剤の急速静注を行わないのは当然のこととして、プレフィルドシリンジの薬液の注射器への移し替えも禁忌であることを強調。事例が発生した医療機関では再発防止策として、(1)プレフィルドシリンジを使用する際は薬液を注射器に移し替えない、(2)プレフィルドシリンジの剤形の目的を周知する、(3)カリウム製剤の希釈方法を医療機関内で統一し、必ず希釈して投与する―といった対策が講じられていることを紹介した。