CSLベーリングは5月15日にメディア向けセミナーを開催。4月に発売した「アナエブリ」(一般名:ガラダシマブ)の適応である遺伝性血管性浮腫(HAE)について、薬師寺慈恵病院院長の薬師寺泰匡氏が講演し、「新薬の発売でHAEの治療選択肢がさらに広がった。患者さんのライフスタイルに合わせた発作予防が可能になっているので、疑わしい症状の方には積極的に検査してほしい」と強調した。
アナエブリはHAE発現の主要開始因子である活性化第XII因子を阻害するファースト・イン・クラスのモノクローナル抗体製剤で、発作の発症抑制を目的にプレフィルドペンによる月1回の皮下投与が可能。HAEの長期発作抑制薬として、同社の「ベリナート」、オーファンパシフィックの「オラデオ」、武田薬品工業の「タクザイロ」に続き、国内4剤目となる。
薬師寺氏はHAE治療の課題として、疾患の認知度が低く未診断の患者が多いことなどを挙げ、「咽頭発作が起きると死亡率が高く、未診断のまま生活するのは非常にリスクが高い。繰り返す皮膚や粘膜の浮腫・腹痛があれば、HAEの可能性を検討してほしい」と述べた。
セミナーで講演した薬師寺氏
会見には患者会であるNPO法人HAEJ理事長の松山真樹子氏も登壇し、患者家族の視点からHAEを取り巻く課題について解説。患者会で相談されることが多い話題は医師とのコミュニケーションについての悩みであり、「病気そのものよりも、病気への対応に困難さを感じている」と述べ、「先生方には、発作や浮腫症状だけでなく患者のQOLにも関心を持っていただきたい」と訴えた。
遺伝性血管性浮腫国際患者団体(HAEi)は毎年5月16日を「HAE DAY」に定め、疾患の認知向上を目的に、世界各地でランドマークのライトアップや啓発イベントを実施している。
記者からの質問に答える松山氏。この日はHAEカラーである紫をドレスコードとしていた。
「アナエブリ」の効能・効果/用法・用量
【効能・効果】遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制
【用法・用量】成人及び12歳以上の小児には、初回に400mg、以降は200mgを月1回皮下投与