株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

洞停止【前編】/Sinus arrest[Dr.ヒロの学び直し!心電図塾(第78回)]

No.5280 (2025年07月05日発行) P.6

Dr.ヒロ|杉山裕章

登録日: 2025-07-04

最終更新日: 2025-07-02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加


洞性P波を欠く3秒以上のR-R間隔延長(ポーズ)



今回お届けするテーマは,「洞停止」で,英語表現は,sinus arrestです。別の“sinus pause”(洞静止)という表現については,後で少し述べます。

所見自体は,比較的シンプルです。ただ,“深掘り”をめざして,周辺事項も交えて丁寧に解説します。前編では,心臓内で起きている現象をイメージしながら,基本的な心電図の読み方についてお話ししようと思います。では,スタート!

「洞停止」と類似病態

「洞停止」は文字通り,サイナス,つまり,洞結節(sinus/sinoatrial node)が“卒倒・気絶する”という意味です。本来なら定期的に“自家発電”してほしい心臓のリーダーが,なぜか突然“休業”してしまった状態です。

以下,連動するすべての組織の興奮が起きませんから,“チーン”と何秒間か心臓が止まってしまいます。この原因は,基本は洞結節にあると考えられ,洞結節機能不全(sinus node dysfunction:SND)の1つと扱われます。ちなみに,「洞不全症候群」(SSS)という呼称でも悪くはありません。

しかしながら,後者は原則として何らかの症候(自覚症状)を前提としており,無症状の場合に使用が躊躇されます。その点,心電図だけの“暫定診断”としては,より広く包括する“SND”のほうが無難なのかもしれません。「洞停止」の心電図所見の肝は,(本来“出るべき”タイミングにもかかわらず)洞性P波が出現せずに3秒間以上のR-R間隔延長(ポーズ)を生じてしまうことです。まずはこれをおさえましょう。

プレミアム会員向けコンテンツです(連載の第1~3回と最新回のみ無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top