口腔の不定愁訴への対応〜MUOSをどう診て、どう対処するか?
豊福 明(東京医科歯科大学大学院歯科心身医学分野教授)
判型:A4判
頁数:47頁、図60点
価格:1,870円(税込)
口腔領域における「不定愁訴」はなかなか厄介です。長引く痛みやしびれのほかに、味覚や口腔乾燥の訴えなど、専ら歯や口の病気を担当する歯科医師のみならず、内科、耳鼻咽喉科、皮膚科、婦人科など多くの診療科の先生方が経験され、悩まれておられることと思います。
いかにも「精神科の病気?」というより、日常生活はほぼ保たれ、意思の疎通も問題ないレベルの、昔で言う「神経症」のような患者さんたちです。
歯や口の問題にはなじみが薄いご専門領域の先生方にとって、「どこまで診て、どこから紹介すればよいのか?」はとても悩ましい問題だったり、知己の歯科医師に相談しても「治らない」などと敬遠されたりすることもしばしばでしょう。
本コンテンツは、プライマリケアの先生方を想定して、なるべく実践的に「どう診立て、どういう言葉をかけ、どう治療していくか」を解説しました。
症状の部位は異なっても「いるいる、こういう患者さん!」と思い当たって頂ければ、お役に立てる部分も少なくないと自負しています。
医学・医療の専門細分化に伴い、診療範囲の分業化も随分進んできたように思います。その一方で、「自分の仕事はこれだけ」と限定していてはとても解決できない複雑な問題を抱えた患者さんを全人的に診る、地域で診る、というニーズもより高まっているように感じています。
必要だと思ってはいてもなかなか実践することが難しかった「心身医学的アプローチ」を「口の不定愁訴」をとっかかりに「ちょっとやってみようか」という気になるかもしれません。
ちょっと「お節介」してみたら、お茶を濁すような対応を繰り返していた患者さんやご家族からえらく感謝されたり、スタッフさんや同僚から「あの先生はすごい」と尊敬されてしまったり、「やってよかった」と日常臨床の満足度がグンと上がったりするかもしれません。