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【書評】『学会発表・医学英語論文執筆のトリセツ』学会発表,医学英語論文執筆を行うすべての医師,医学者にお勧めする必読の指南書!

No.5251 (2024年12月14日発行) P.67

石原聡一郎 (東京大学大学院医学系研究科腫瘍外科学教授)

登録日: 2024-12-11

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学会発表や英語論文の執筆は,研究を行う医師や医学者にとって避けて通れない道ですが,特に本書のタイトルにある「臨床研究にはじめて挑戦する大学院生」などの若手にとっては,何をどう進めればよいかわからず,大変な重荷になることが多いでしょう。私自身もかつてはそうでした。しかし,経験を積んだ方ならおわかりいただけると思いますが,実は学会発表や論文執筆,またその準備作業は,研究業務の中でも「楽しい」部分であるはずです。本書を執筆した畑 啓介先生は,その点をよく理解しており,本書の随所から,畑先生が「研究発表を楽しむ」姿勢が伝わってきます。

畑先生とは,彼が研修医として東京大学第一外科(当時)に配属された約30年前からの長い付き合いになります。彼は臨床だけでなく,研究業績においても非常に優れた医師であり,そのことが本書の説得力を高めています。さらに,米国のJohn Wayne Cancer Institute(現在のSaint John’s Cancer Institute)での留学経験が,畑先生の英語力の基礎となっているのは間違いありません。

畑先生は私にとって後輩にあたりますが,学会発表におけるスライド作成や効果的なプレゼンテーション,論文執筆における統計手法や結果の提示方法に関する知識と経験は,驚くほど豊富です。かつて医局での学会発表の予行演習や大学院生への論文指導の際,私自身が畑先生から多くのことを学びました。本書を拝読すると,それらの「ノウハウ」と「落とし穴」が余すところなく盛り込まれており,まるで畑先生が後輩を指導している光景が目に浮かぶようです。さらに,まだ「教わっていなかった」新たな知識も多く含まれており,非常に勉強になりました。

学会発表や論文執筆は,研究におけるひとつの「ゴール」とも言えますが,本書ではその「ゴール」に向けたスタート,「研究テーマの決め方」や文献検索の方法まで詳しく解説されています。これにより,本書は発表や論文作成のノウハウだけでなく,研究全体のスタートからゴールに至る道筋を示す指南書として,大きな特徴を持っています。

本書は,臨床研究の初学者だけでなく,指導者としての立場にあるすべての医師・医学者にも,胸を張ってお勧めできる一冊です。

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