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頸椎椎間板ヘルニア[私の治療]

No.5089 (2021年11月06日発行) P.41

土井田 稔 (岩手医科大学整形外科学講座主任教授)

登録日: 2021-11-06

最終更新日: 2021-11-01

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  • 頸椎椎間板ヘルニアは,椎間板組織の髄核あるいは線維輪の一部が,線維輪を破って後方あるいは後側方に脱出し,脊髄,神経根が圧迫されて脊髄症あるいは神経根症の症状を呈する病態である。40〜60歳代の男性に多く,比較的急性の発症,進行をすることが多い。

    ▶診断のポイント

    【症状】
    〈頸部局所症状〉

    頸部・肩甲帯・肩関節部に至る疼痛を訴え,可動域制限を認める。

    〈神経根症状〉

    多くは片側性の上肢への放散痛を認め,徐々に障害神経根レベルに一致したしびれ,知覚障害,筋萎縮,筋力低下が生じる。頸椎後屈で症状の再現あるいは増悪がみられる。

    〈脊髄症状〉

    上肢・体幹・下肢のしびれ,知覚障害,手指巧緻運動障害が出現し,進行すれば歩行障害や膀胱直腸障害を引き起こす。

    【検査所見】
    〈神経学的所見〉

    神経根症:Spurlingテスト,Jacksonテストの陽性所見,障害神経根に一致した深部腱反射の減弱,筋力低下,分節性知覚障害がみられる。

    脊髄症:脊髄症では,圧迫される脊髄の髄節が神経根に比べておおよそ1髄節低い。灰白質障害による髄節徴候として,障害髄節の深部反射の減弱,筋力低下,知覚障害がみられる。また,白質障害による索路徴候として,Hoffmann徴候,下肢腱反射亢進,知覚障害,膀胱直腸障害などがみられる。

    〈画像所見〉

    単純X線像:初期には正常像のことも多いが,罹患椎間に椎間腔の狭小化や前方圧縮がみられることがある。

    MRI:脊柱管内へ膨隆した椎間板あるいは遊離した椎間板組織が認められ,これによる脊髄や神経根の圧迫がみられる。膨隆した椎間板ヘルニアと頸椎症によるものとの鑑別が重要である。神経根症の横断像では,脊柱管外側か椎間孔部に脱出しているヘルニア像が認められることがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    神経根症の予後は比較的良好なため保存療法が主体となる。消炎鎮痛薬の服用,安静,頸椎カラーの装着などで対処する。最近ではプレガバリンやミロガバリンを処方することも多い。頸椎の牽引療法や温熱療法の併用も効果的である。疼痛の強い症例では入院による安静や硬膜外ブロック,神経根ブロックを行う。保存療法の有効性に乏しい場合や症状の再燃を繰り返す場合は手術療法を考慮する。また,肩関節挙上障害,手内在筋の機能障害などの神経脱落症状を呈する場合は手術適応となる。

    脊髄症では,比較的軽症の場合は,消炎鎮痛薬,プレガバリンやミロガバリンなどの投与,頸椎カラー装着,安静などを行う。ヘルニアの消退によって症状が寛解する症例もある。保存療法に反応しない症例,手指巧緻運動障害や歩行障害などの運動障害を合併している重症例では,脊髄の不可逆的変化を最小限にとどめるために早期に手術療法を行う。

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