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膝関節周囲骨切り術を駆使した関節温存手術の広がり

No.5025 (2020年08月15日発行) P.49

大槻周平  (大阪医科大学整形外科講師)

登録日: 2020-08-13

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 【手術手技の確立等により,社会復帰までの時間が大幅に短縮されている】

超高齢社会の日本において変形性膝関節(OA)は依然として増加傾向にあり,有病率は1000万人とも言われている。末期OAに対しては人工膝関節置換術が広く行われており,良好な長期成績も数多く報告されている。しかしながら近年,スポーツを楽しむ高齢者が多く,関節温存手術である膝周囲骨切り術が注目されている。

膝周囲骨切り術は以前から行われていた手術であるが,社会復帰に時間がかかっていた。2000年以降,骨切り後の固定に使用するプレートや人工骨の開発,手術手技の確立により,社会復帰までの時間が大幅に短縮され,わが国における手術件数は年間約1万件まで増加している。膝周囲骨切りの術式選択には,矯正角度,膝蓋骨への影響などが検討材料となる。これまで主な術式は,内側開大型高位脛骨骨切り手術(OWHTO)であったが,膝蓋大腿関節症を誘発することが懸念されていた。そこで,竹内らは外側閉鎖式と内側開大式の利点を組み合わせたhybrid HTOを考案し1),近年内側のみならず膝蓋大腿関節の2関節OAに対する適応も広がっている2)。また,矯正後に膝関節面が大きく傾くような矯正が予想される場合には,大腿骨と脛骨で矯正角度を調整するdouble level osteotomy(DLO)が選択される。術前の膝変形やOAの病態に即した膝周囲骨切り術の選択は,患者満足度を向上させると考えられる。

【文献】

1) Takeuchi R, et al:Arthrosc Tech. 2014;3(4): e431-7.

2) Otsuki S, et al:Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2019;27(4):1332-8.

【解説】

大槻周平 大阪医科大学整形外科講師

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