著者は、日本で最も多くの重症/希少の成人食物アレルギー患者さんを診療し、かつその原因を正確に突きとめ寛解させている、とても優れた臨床医です。現在、アレルギー疾患対策基本法が定めた国のアレルギー医療の中心拠点病院である国立病院機構相模原病院において、アレルギー科の中核メンバーとしても活躍中です。さらに著者は、そこで得られた臨床経験だけでなく、多くの国際的な研究業績を上げている世界トップレベルの新進気鋭の研究者でもあります。彼のもとには、全国から多くの成人食物アレルギーの患者さんが紹介されてくるだけでなく、熱意ある医師も大勢勉強に訪れています。
近年、成人の食物アレルギーは急速に増加し、国民の約10%に認められます。小児食物アレルギーと異なる点が多く、原因アレルゲンや機序、症状が様々で、アレルギー専門医でさえも、その対応に非常に苦労しているのが現状です。しかし今まで、成人食物アレルギーに特化した正しい内容の専門書はほとんどありませんでした。「臨床に役立つ、正しい内容の成人食物アレルギーの手引き」を、専門医や医療関係者はもちろん、患者さんもずっと渇望していました。今その期待に十分に応えるのが本書と断言できます。
本書は、この領域の第一人者である著者が、彼の多くの経験と高いスキルを活かして、大人の食物アレルギーにおいて、「正しい原因の見つけ方」、「最善の対応法」、「症状や病態」、「誤りやすい点」など、専門医でも回答できない疑問点に関して、67項目のQ&A形式で解説しています。項目ごとになったわかりやすい内容の手引書ですが、内容は最新の知見も多く含んだ現時点のバイブルともいえる、“成人食物アレルギーの診療の手引き書”に相当します。
本書が、大人のアレルギーを診療する医師だけでなく、栄養関係、医療関係者、また多くの食物アレルギーに悩む患者さんとご家族に大変有益であると確信するとともに、ここに強く推薦いたします。