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【書評】あの『誰も教えてくれなかった診断学』の続編がついに!!

No.5002 (2020年03月07日発行) P.66

志水太郎 (獨協医科大学総合診療医学主任教授)

登録日: 2020-03-04

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野口先生は診断学教育の日本の草分けのような存在であることは言うまでもありません。2008年に出版された名著『誰も教えてくれなかった診断学』(医学書院)には、当時日本の多くの若手医師や学生が診断学への勇気を貰えたのではないかと思います。その上級編に当たるのが本書です。

評者は個人的に野口先生にお目にかかったことがあり、またご著書やメディアでも野口先生のご経歴をよく拝見するのですが、1995年にTufts-New England Medical Center Fellow of Clinical Decision Makingで訓練をされた(そののちHarvard SPHで公衆衛生学を修められています)というその時代は、診断学の“ブーム”が訪れている今とは全く違う風景が日本に広がっていたのではないかと想像します。そのような中、clinical decision making(臨床決断学)といわれる分野において、こうしてわかりやすく診断学を“誰も教えてくれなかった”切り口で世に広めてくださったことは、日本の医学界において大きな福音だったと思います。

本書は前著の後継にも当たる位置づけとの本書の言葉通り、前著に加え、昨今の診断学志向の基本構造となるいわゆるdual process theoryに基づくsystem 1 diagnosisについても言及され、さらにその詳細な省察が展開されています。「推論をみがく」の章ではいわゆるsystem 2の概念を包括し、様々な角度から“狭義の”診断推論を訓練するための方策がケースとともに紹介されています。複雑症例の攻略ももちろん本章のターゲットです。続くフレームワークの章でpivot and clusterやhorizontal-vertical tracingなどの代表的な診断戦略も紹介されています(感謝申し上げます)。Treat/no Treat, Treat/Test/Waitの章では、決断分析の考え方を学ぶ上でとても勉強になる症例と解説の記載があり、野口先生のご本ならではの学びが充実しています。最後の章は「地雷疾患」の章であり、いわゆるdon’t miss diagnosisの各論についてまとめられています。

「直感?直観?」「意識下を動かす」「ワーキングメモリ」「AI」などのコラムも充実していて、個人的には読者としてそちらも気に入っています。

総じて、奥義伝授のタイトルにふさわしい包括的なマスターピース、お勧めです。

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