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診断推論 奥義伝授【電子版付】

定価:4,620円
(本体4,200円+税)

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著: 野口善令(名古屋第二赤十字病院副院長/第一総合内科部長)
判型: A5判
頁数: 252頁
装丁: 2色刷
発行日: 2019年08月30日
ISBN: 978-4-7849-6265-5
版数: -
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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◆臨床経験を積んでいけば、直感的に診断名がひらめくことは増えていきます。しかし、どうしても分析的・系統的なアプローチが必要な場面もでてきます。非特異的な訴え…なじみのない訴え…複数の箇所に出現している所見…。そんなとき、「どう推論を組み立てて」いけばいいのか?
◆その悩みにお答えします!すでに一般的になっている「診断推論」の弱点を補強、疑問を掘り下げて、野口善令先生が解説していきます!
◆本書では「直感を鍛える」「推論を深化させる」を大きなテーマとしています。無意識で働く「直感」をどう鍛えるのか?その方法も、もちろん紹介しております。ぜひ本書で、一歩進んだ「上級編」の診断推論を始めてください!

診療科: 総合診療 診断一般

目次

1章 イントロ
1 診断が難しいとは何を意味しているのだろう

2章「直感」と「推論」
1 認識の方法
2 直感の強みと弱み

3章 直感をみがく
1 ゲシュタルトを鍛える
2 典型と非典型
3 ゲシュタルトを把握するツール

4章 推論をみがく
1 「推論」の成り立ち
2 複雑症例の攻略
3 Occam’s razor vs Hickam’s dictum
4 Too many differentials will kill you

5章 診断推論のフレームワーク
1 Pivot & cluster strategy(PCS)
2 Horizontal-vertical tracing(HVT)
3 Treat/no Treat,Treat/Test/Wait

6章 診断の地雷疾患
1 急性喉頭蓋炎
2 くも膜下出血
3 急性冠症候群(ACS)
4 大動脈解離

column
1 直感? 直観?
2 ピザのゲシュタルト
3 ゴールドスタンダードを考える
4 意識下を動かす
5 診断特性
6 事前確率
7 ワーキングメモリ
8 アドバンストステップの推論の話題
9 AI 人工知能と診断

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序文

野口・福原は,2008年に「誰も教えてくれなかった診断学─患者の言葉から診断仮説をどう作るか(医学書院)」を上梓し,臨床医に最も重要な素養は,手技のスキルにもまして,思考力・判断力であることを強調し,診断推論の考え方を解説しました。それまでは個々の臨床医の経験に依存して体得していた診断に至るまでの思考過程を体系的にまとめるという日本で初めての試みでしたが,幸いなことに広く受け入れられ,診断推論の考え方は日本の医療界に定着し,「診断推論」「臨床推論」「鑑別診断」「診断仮説」「想起」など以前は耳慣れなかった用語も臨床医の共通言語になりました。日本の医療現場に診断推論の考え方を普及させるべく長年努力してきた筆者らにはたいへんうれしいことです。
しかし,上梓から約10年が経過し,「診断推論」に関わる質問も多く頂くようになり,自分の中でも「診断推論」についての考察が深まった結果,いろいろな不足点が出てきました。「診断推論」についての基本的な理解が広まった現在,前著を補い,疑問を掘り下げるかたちで,さらに深い内容を論じていく時期がきたと思われます。 前著を「診断推論」の入門編とすれは,本書は上級編にあたるもので, ①直感を鍛える, ②推論を深化させる, を2つの大きなテーマとしています。直感は,無意識の領域で働くものだけにダイレクトに鍛えることはできずやはり推論を介してトレーニングすることになりますが, その相互作用に多くの紙面を費やしました。内容は, 雑誌 Primariaに連載した「誰も教えてくれなかった診断推論」に大幅に加筆修正したものです。
本書が,読者の皆様の診療の助けとなり,ひいては患者さんの苦悩を軽減する一助になれば望外の幸いです。

なお,本書の執筆に際しては,京都大学大学院 福原俊一教授にはご助言を,千葉大学医学部附属病院総合診療科 生坂政臣教授,大船中央病院 須藤博先生,茂木まや子氏には資料提供を,認定NPO法人健康医療評価研究機構iHope international,雑誌Primaria編集部には様々な支援をいただきました。末筆ながら,深く感謝の意を表します。

2019年7月 野口善令

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レビュー

あの『誰も教えてくれなかった診断学』の続編がついに!

志水太郎(獨協医科大学総合診療医学主任教授)
野口先生は診断学教育の日本の草分けのような存在であることは言うまでもありません。2008年に出版された名著『誰も教えてくれなかった診断学』(医学書院)には、当時日本の多くの若手医師や学生が診断学への勇気を貰えたのではないかと思います。その上級編に当たるのが本書です。
評者は個人的に野口先生にお目にかかったことがあり、またご著書やメディアでも野口先生のご経歴をよく拝見するのですが、1995年にTufts-New England Medical Center Fellow of Clinical Decision Makingで訓練をされた(そののちHarvard SPHで公衆衛生学を修められています)というその時代は、診断学の“ブーム”が訪れている今とは全く違う風景が日本に広がっていたのではないかと想像します。そのような中、clinical decision making(臨床決断学)といわれる分野において、こうしてわかりやすく診断学を“誰も教えてくれなかった”切り口で世に広めてくださったことは、日本の医学界において大きな福音だったと思います。
本書は前著の後継にも当たる位置づけとの本書の言葉通り、前著に加え、昨今の診断学志向の基本構造となるいわゆるdual process theoryに基づくsystem 1 diagnosisについても言及され、さらにその詳細な省察が展開されています。「推論をみがく」の章ではいわゆるsystem 2の概念を包括し、様々な角度から“狭義の”診断推論を訓練するための方策がケースとともに紹介されています。複雑症例の攻略ももちろん本章のターゲットです。続くフレームワークの章でpivot and clusterやhorizontal-vertical tracingなどの代表的な診断戦略も紹介されています(感謝申し上げます)。Treat/no Treat, Treat/Test/Waitの章では、決断分析の考え方を学ぶ上でとても勉強になる症例と解説の記載があり、野口先生のご本ならではの学びが充実しています。最後の章は「地雷疾患」の章であり、いわゆるdon’t miss diagnosisの各論についてまとめられています。
「直感?直観?」「意識下を動かす」「ワーキングメモリ」「AI」などのコラムも充実していて、個人的には読者としてそちらも気に入っています。
総じて、奥義伝授のタイトルにふさわしい包括的なマスターピース、お勧めです。

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

このたびは『診断推論 奥義伝授』をご購入いただきまして誠にありがとうございました。
本書に下記の変更がございますので,訂正するとともに,謹んでお詫び申し上げます。

118頁

①臨床医が知りたい診断特性は,2方向の性能からなる

除外診断の性能は「感度」「陽性尤度比(LR+)」で,確定診断の性能は「特異度」「陰性尤度比(LRー)」で表される(図6)。

除外診断の性能は「感度」「陰性尤度比(LRー)」で,確定診断の性能は「特異度」「陽性尤度比(LR+)」で表される(図6)。

 

119頁

まとめ

除外診断の性能は,感度,陽性尤度比(LR+)で,確定診断の性能は特異度,陰性尤度比(LRー)で表される。

除外診断の性能は,感度,陰性尤度比(LRー)で,確定診断の性能は特異度,陽性尤度比(LR+)で表される。
 

 

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