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【他科への手紙】整形外科→一般外科、救急外科

No.4796 (2016年03月26日発行) P.43

難波二郎 (市立豊中病院整形外科医長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 筆者は大阪府北摂地区の基幹総合病院・整形外科に勤務し、手の外科を専門としています。上肢の外傷を主に扱っていますが、手・手指の動物咬傷について綴らせていただきます。中毒性疾患にcategorizeされている蛇や蜂などではなく、犬・猫・人(ゾンビではありません)に咬まれた傷です。

    そのほとんどは無難に治癒しますが、しばしば深部感染に至り当院へ紹介されることがあります。エピソードとしては以下のようなものです。

    1つ目は、ある男性が喧嘩をしてゲンコツの手を相手に咬まれた症例です。近医外科を受診し表在創処置と抗菌薬投与がなされましたが、環指MP関節の腫脹、発赤、疼痛が出現し、関節炎疑いで当院へ紹介となりました。既に関節軟骨は溶解し骨髄炎へ波及しており、掻爬術施行したものの関節機能障害が残りました。

    2つ目は、ある女性が飼い猫に中指先端を咬まれ、1つ目の男性と同様の処置を受けたものの、手指全体が棍棒のように腫脹してきた症例です。屈筋腱腱鞘滑膜炎の診断で掻爬、滑膜切除しましたが手指拘縮が遺残しました。

    以上、2つの症例を紹介しましたが、もしかしたら今までに初療だけでその後は知らないというケースもあるのではないでしょうか? 教科書的な対処法は、まず小さいが深い穿通創であることを認識し、可及的創洗浄を行い、開放創とすること、適切な抗菌薬を処方することとなっています。

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