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凍傷[私の治療]

No.5278 (2025年06月21日発行) P.42

山田裕彦 (岩手県立大船渡病院救命救急センター副院長)

登録日: 2025-06-23

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  • 凍傷は寒冷刺激による皮膚および皮下組織の組織障害であり,局所が凍結する環境下で発症する。病態として組織凍結による直接障害のほか,血管収縮や血管内の氷の結晶による塞栓,寒冷刺激により放出される化学伝達物質による二次的障害がある1)
    低体温症を合併している場合には,全身管理が必要になる。凍傷単独で致死的となることはないが,組織救出のため迅速な復温などの対応が必要になる。

    ▶病歴聴取のポイント

    寒冷環境に置かれたことが判明すれば凍傷の診断は比較的容易であるが,発症の要因となる意識障害や外傷,寒冷曝露時間などの聴取が必要である。その他,薬物乱用の有無,低栄養,糖尿病,末梢動脈疾患などの既往歴の聴取が必要となる。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    バイタルサインの確認では,低体温症の有無に注意する。低体温症では迅速な全身の復温が必要となるため,深部体温の測定は必須である。

    身体診察では,手指や足趾の詳細な観察のほか耳介を含む顔面の観察も必要である。また,外傷の有無を観察する。

    凍傷の重症度は熱傷の組織損傷と同様に,I度「表皮の障害」,Ⅱ度「真皮に達する障害」,Ⅲ度「皮下組織に達する障害」,Ⅳ度「骨・筋に達する障害」に分類されるが,局所循環の影響を受けて障害が進行するため急性期の判定は難しい1)2)

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