株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

褥瘡ケア[私の治療]

No.5063 (2021年05月08日発行) P.55

磯貝善蔵 (国立長寿医療研究センター皮膚科部長)

登録日: 2021-05-09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 褥瘡は骨突起上への持続的な外力が阻血を起こしてできた皮膚潰瘍病変である。よって,骨突起上に持続的な外力が加わりやすい疾患や状況と皮膚・軟部組織などの外力への耐久性低下などが発症要因である。

    ▶代表的症状・検査所見

    除圧が困難な患者において,仙骨,踵,大転子,坐骨,尾骨などの骨突起上にみられる紫斑,水疱,潰瘍,壊死は褥瘡を疑う。鑑別診断としては単純疱疹,皮膚カンジダ症,動脈硬化による皮膚潰瘍,接触皮膚炎,類天疱瘡などがある。検査所見に特異的なものはないが,広範な筋肉壊死を伴う場合はクレアチニンキナーゼが上昇し,感染症の合併時には炎症マーカーが高値となる。また深部の骨軟部組織感染症の合併が疑われる場合はCTなどの画像診断が必要になる。

    ▶状態の把握・アセスメント

    褥瘡患者をみたら外力の発生原因と創の状態の両面からの診察・検査が必要とされる。原因については,基礎疾患や投薬状況,介護状況などを把握する。特に,一過性の状態変化をきたしうる疾患や状態,ならびに対麻痺などの知覚低下をきたす疾患を把握する。創状態に関して,発症直後の急性期褥瘡では,深さも不明で感染症合併のリスクもあるため,創の病態を注意深く観察する。それ以降の慢性期褥瘡では真皮が保たれている浅い褥瘡と,皮下組織より深部に達する深い褥瘡にわけて診療方針を立てるのが実際的である。

    ▶治療の考え方

    基礎疾患の状態,褥瘡の深さと病期によって治療目標を立てる。余命がわずかであると考えられる場合などは感染予防と疼痛緩和を目標とする。急性疾患による一時的な可動性の低下で褥瘡が発症した場合は治癒を目標とする。神経疾患,運動器疾患などで可動性が低い場合においても病態を正しく把握し,適切な対策をとることで治癒は期待できる。いずれにしても,予防と治療の両面を並行して行っていくことが重要である。

    残り1,482文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連物件情報

    page top