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高齢者の暮らしを守る 在宅感染症診療【電子版付】

定価:4,730円
(本体4,300円+税)

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著: 高山義浩(沖縄県立中部病院感染症内科/地域ケア科 副部長)
判型: A5判
頁数: 222頁
装丁: 口絵カラー
発行日: 2020年02月20日
ISBN: 978-4-7849-5755-2
版数: 第1版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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地域ケア科・感染症内科での経験をもとに、時間と資源が限られる在宅での感染症診療と感染対策を、4つの観点から実践的に解説!

(1)在宅での感染症の考え方

(2)症候別アプローチ

(3)使いこなしたい薬剤

(4)感染対策

目次

1章─ 在宅における感染症診療の考え方
1)在宅における高齢者診療
2)高齢者に対する病状説明
3)在宅における抗菌薬療法
4)感染症治療のチーム形成
5)抗菌薬投与の差し控え
【コラム】 在宅での死亡確認は丁寧に

2章─ 発熱に伴う症候からのアプローチ
1)頭痛,鼻汁,咽頭痛,咳嗽
普通感冒/インフルエンザ/溶連菌性咽頭炎/急性副鼻腔炎/細菌性髄膜
炎/ウイルス性髄膜炎/扁桃周囲膿瘍/咽後膿瘍/口腔底蜂窩織炎/感染
性血栓性頸静脈炎/急性喉頭蓋炎/側頭動脈炎/Crowned dens症候群
2)咳嗽,頻呼吸,呼吸困難
市中肺炎/誤嚥性肺炎/異型肺炎/無気肺/膿胸/肺結核/心不全/肺梗塞/
胃食道逆流/咳喘息/薬剤性咳嗽
3)嘔気・嘔吐,下痢,血便,腹痛
急性胃腸炎/ノロウイルス胃腸炎/クロストリディオイデス・ディフィ
シル腸炎(CDI)/カンピロバクター腸炎/サルモネラ腸炎/急性虫垂炎/
憩室炎/糞線虫症/糖尿病ケトアシドーシス(DKA)/薬剤性下痢/低
アルブミン血症/浸透圧性下痢/胃内貯留不全
4)頻尿,排尿時痛,尿混濁
急性腎盂腎炎/細菌性前立腺炎/膀胱炎
5)皮膚の発赤・腫脹・熱感,皮疹
蜂窩織炎/壊死性筋膜炎/褥瘡感染/動物咬傷/感染性骨髄炎/帯状疱疹/
疥癬/深部静脈血栓症/虫刺症/接触性皮膚炎/腫瘍随伴症候群
6)関節の疼痛・腫脹・熱感
化膿性関節炎/偽痛風/痛風/リウマチ性多発筋痛症
7)熱源が明らかでない発熱
熱源不明の発熱/感染性心内膜炎/カテーテル関連血流感染症/急性胆
囊炎/化膿性胆管炎/結核/深部膿瘍/薬剤熱/ネコひっかき病
【コラム】 どうやったら死ねるんだ!

3章─ 在宅医療で使いこなしたい抗菌薬/抗ウイルス薬
1)使いこなしたい内服薬
アモキシシリン/アモキシシリン・クラブラン酸/セファレキシン/レボ
フロキサシン/アジスロマイシン/ドキシサイクリン/クリンダマイシン/
ST合剤/メトロニダゾール/オセルタミビル/バラシクロビル
2)使いこなしたい注射薬
セファゾリン/セフトリアキソン/メロペネム/トブラマイシン
【コラム】 家族の関わりの中で抗菌薬を選択する

4章─ 在宅ケアにおける感染対策
1)基本的な考え方
2)医療資器材の感染対策
3)高齢者施設における感染対策
4)外国人材の受け入れと感染対策
【コラム】 家庭における薬剤耐性菌の水平感染

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序文

本書は,在宅医療という限られた時間と資源において,感染症を発症した高齢者を診療する医師の手助けとなるように書かれたものです。ここで言う感染症の診療には,本人の再発予防や周囲への拡大抑止も含まれています。

筆者は,これまで臨床医として,JA長野厚生連佐久総合病院の総合診療科と沖縄県立中部病院の地域ケア科に在籍し,主として在宅緩和ケアを担当してきました。家族や介護職,訪問看護師など地域が有する力を引き出しながら,本人の希望に沿って,できるだけ入院を回避する診療を心がけています。

その一方で,沖縄県立中部病院の感染症内科にも在籍し,様々な背景を有する感染症患者の入院医療を担当してきました。在宅医療を断念して入院すべきタイミングを見計らうこと,あるいは,なるべく早く在宅療養へと引き継げる状態にすることを日常における臨床課題としています。

そうした筆者の経験をもとに,最新のエビデンスも参照しながら,在宅における感染症診療と感染対策について実践的に解説したものが本書となります。

第1章では,在宅における感染症診療の考え方について,総論的に解説しています。高齢者に認める感染症の特性,病状説明を行うときに留意したいこと,在宅で抗菌薬を選択するときの注意点,急性期在宅のチーム形成,そして治療からの撤退の考え方。これらは,経験豊富な在宅医や訪問看護師にとって,至極当然の話かもしれません。しかし,在宅医療に取り組み始めた若手の医師や看護師の皆さんには,ぜひとも知っておいて頂きたい内容ばかりです。

第2章では,症候別に鑑別を挙げる形式で,各論としての感染症診療を解説しています。在宅というセッティングにおける診断プロセス,すなわち問診と身体診察,臨床検査,抗菌薬の選択をはじめとした治療戦略,そして再発予防,感染管理。もちろん,発熱や発赤,腫脹があったとしても感染症とは限りません。この章では,感染症以外の類似疾患についても独立したセクションをもって紹介しています。ただし,本書の役割は想起するところまでとしており,確定診断や治療については,それぞれの専門書を参照頂ければと思います。

第3章では,在宅医療で使いこなしたい抗菌薬と抗ウイルス薬について,薬剤別に解説しています。それぞれの薬剤を選択するのはどのような状況か? 在宅医が押さえておくべき薬剤相互作用や副作用は? そして,腎機能が低下しているときの用量調整についてです。耐性菌が増えているなかにあって,診断名だけで経験的に抗菌薬を選択することが難しくなっています。そこで,在宅における耐性菌との戦い方についても紹介しています。

第4章では,在宅ケアの現場における感染対策について解説しています。暮らすことで,介護することで,精いっぱいの家庭も少なくありません。様々な事情を総合的に勘案して感染対策の落としどころが探せるよう,感染防護具の活用や医療資器材の消毒法などを紹介しています。また,介護現場で働く外国人が増えてきています。そこで,彼らとの共生社会の形成をめざしつつも,特に高齢者施設へ輸入感染症が持ち込まれないよう,実施すべき感染対策についても解説しています。

本書は,医療法人社団悠翔会の佐々木淳先生,JA長野厚生連佐久総合病院の小松裕和先生の励ましのもとに生まれました。この尊敬すべき先生方からは,在宅医療の思想と技術について日頃より多くの示唆を頂いています。そして,国際医療福祉大学病院救急医療部の志賀隆先生,沖縄県立中部病院感染症内科の椎木創一先生は,出版前の原稿を精読くださり,貴重なご指摘を多数くださりました。

沖縄県立中部病院感染症内科と地域ケア科の同僚たちからは,いつも患者さんの生活を起点として考え,病気だけでなく生活から治療していく姿勢を教えて頂いています。また,地域でともに在宅医療に取り組む仲間である中部協同病院の犬尾仁先生,中部徳洲会病院の新屋洋平先生,訪問看護ステーションいずみ苑,あおぞら,のぞみ,どりーむなど,協働する仲間たちに私は恵まれています。

先駆者である喜舎場朝和先生,青木眞先生には,感染症に限らず臨床に求められる基本姿勢を教えて頂きました。地域包括ケアと在宅医療については石巻市立雄勝診療所の長純一先生の背中を追っています。外国人労働者への視線は,シェア=国際保健協力市民の会の沢田貴志先生から強い影響を受けています。長崎大学熱帯医学研究所国際保健学分野の山本太郎教授には,日々の臨床に浮かぶ漠然としたアイデアを普遍化する気づきを頂いています。

そして,本書のアイデアを構想した磯辺栄吉郎さんをはじめ日本医事新報社の方々には,辛抱強く私の執筆を見守っていただいただけでなく,再三の校正によりご無理をお願いしました。

以上,多くの方々の支えがあって本書は結実しました。ここに改めて感謝の気持ちを表したいと思います。なお,細心の注意を払って執筆しましたが,誤りがありましたらお知らせ下さい。本書が,在宅医療のみならず,高齢者の暮らしを豊かにする一助となることを祈っています。


2020年1月 沖縄県中城村にて

高山義浩

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レビュー

『在宅感染治療学』とでもいうべき新しい学術フィールドの提案

佐々木 淳(医療法人社団悠翔会 代表医師)
ここ数日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大対策に追われている。在宅というセッティングでの厳格な感染管理の難しさを感じていたまさにその時、この新刊を手にすることになった。
在宅高齢者は脆弱だ。感染症を繰り返し、感染症で亡くなる人が多い。
だからこそ私は、在宅医療の使命の1つは感染症の予防、つまり発症を予防すること(一次予防)、早期発見・早期治療で入院を減らすこと(二次予防)、入院を選択する場合は、機能障害が顕在化する前に退院させること(三次予防)にあると考えている。
しかし感染症の予防には限界がある。また症状が非典型的であったり、認知症などで訴えのない人もおり、早期発見は容易ではない。治療にはアドヒアランスから自ずと制約が生じる。多剤耐性菌に対しても在宅ではグリーンゾーンとレッドゾーンを明確に区分できない。そして人生の最終段階で、どこまで感染症として治療すべきか、臨床倫理的な状況判断、意思決定支援が求められる。
つまり感染治療学の教科書通りにはいかないのが、在宅での感染症治療なのだ。
多くの仲間たちが、日々悩みながら在宅での感染症治療に取り組んでいることと思う。
本書は、そんなモヤモヤに対する明確なガイダンスとなっている。
エビデンスに基づくbiologicalな視点、患者・家族の生活をそっと見守るbiographicalな視点、この2つがバランスよく配され、在宅での感染症治療のあり方を立体的に捉えることができる。そのタイトル「高齢者の暮らしを守る在宅感染症診療」にある通り、生活を支えるための手段としての感染症治療のあるべき姿が具体的に示されている。
超高齢化の進行に伴い、感染症治療のメインフィールドは病院から自宅や施設にシフトしていく。優れた感染症専門医でありながら在宅医療にも精通する筆者による、まさに「在宅感染治療学」とでもいうべき新しい学術フィールドの提案といってもいいかもしれない。
在宅医療のみならず、高齢者医療に関わる病院の関係者にもぜひご一読をお願いしたい。

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

98ページ
表5「在宅における尿道留置カテーテルの抜去」
【ステップ2】薬物治療を導入する ②尿閉を改善させる薬剤の開始 本文4行目

【誤】抗アンドロゲン薬(イクスタンジ®など)
【正】抗アンドロゲン薬(プロスタール®など

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