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【書評】@ER×ICU めざせギラギラ救急医

No.4884 (2017年12月02日発行) P.76

志賀 隆 (国際医療福祉大学医学部救急医学講座/同三田病院救急部長)

登録日: 2017-12-04

最終更新日: 2017-11-28

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「待望の一冊!」が出版された。著明なブロガーである岸和田徳洲会病院救命救急センター医長・薬師寺泰匡先生の一冊である。

世の中には、著書はいろいろと出しているが臨床業務がおろそかになっている先生もいらっしゃる。しかし、薬師寺先生は文字通りスーパー救急医で月に何度も夜間帯に働きつつも、原稿執筆や講演活動を続けている。また、しっかりとアカデミックな活動も両立されており、学会発表や論文執筆も精力的にこなされている。そんな薬師寺先生の今回の一冊はすべての「医学生・研修医」にお薦めである。

なぜだろうか? 救急医をめざすというと一見「意識高い系」という分類をされてしまいそうだが、薬師寺先生の選んだダイナミックなキャリアは現在の医学生・研修医にとって格好の教材そのものだからである。以下にどうして読むべきか! について章ごとに解説したい。

第1章では、救急医療の枠組みについてわかりやすく解説されている。新しい形の救急医であるER型救急医はなぜ生まれ、発展してきたのか? とてもわかりやすい説明でスーっと理解できる。

第2章では、救急医の必須事項になんと「イケメン」が出てくる。確かに、やっくん(薬師寺先生のあだ名)はイケメンだけど…。厳しすぎない?と思うとイケメン=紳士的かつ情熱的な医師であると解説があり、さすが薬師寺先生だと納得する。

第3章では、救急医としてどのようにキャリアを歩むべきか? について過去の考えにとらわれず柔軟な考え方が提示されている。中でも注目したいのは、メンターについての記載である。やはり相談できて腹を割って話せる身近なメンターの重要性も触れられている。しかし、それだけではなく、ウェブやSNSの進んだ現在の社会においてメンターは自分の施設にいなくてもよく、気軽に相談できたり共感してくれる存在であれば他施設でもよいと指摘している。また、救急医ならではのEM Alli-anceや拙著「医師人生は初期研修で決まる! って知ってた?」もご紹介頂いているところも特筆したい。

第4章を見てほしい。まさに現場の救急医からの情報発信である。敗血症の最新のアップデートから、DNARまでとてもわかりやすくまとめてある。かつて、救急医は「専門医から教えを請うことで成長する」という姿勢であった。しかし、教えを請うだけの時代はもう古く、救急医自身が勉強し研究し情報発信をする時代である。
薬師寺先生はまさに「情報発信を通じて自らを磨く、紳士的で情熱的なイケメン救急医」なのである。医学生、若手医師にぜひ本書をご一読いただき、薬師寺先生のエネルギーと才能を感じてほしい。

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特に3次救急患者さんに関しましては、症状に応じて長崎医療センター及び救急隊と連携をとりながら、必要に応じた救急対応を行っています。また、2次までの救急患者さんに関しては、専門医と総合医が協力し対応しています。
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