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「電気治療をし、湿布を処方しているだけでは民間療法と変わらない」医療機関からの患者流出を問題視【慢性疼痛実態調査】

登録日: 2017-08-30

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「画像や血液などを用いた痛みの客観的指標が確立されれば、治療や診断はさらに変わってくる」と指摘する中村氏

慶大整形外科の中村雅也氏が823日に都内で講演し、医療機関から民間療法に患者が流れている実態を問題視した。

講演はファイザーとエーザイが開いたセミナーで行われた。講演で中村氏は、運動器の慢性疼痛の調査について結果を発表した。無作為に抽出した全国の12000名を対象に実施した2010年の調査結果によると、運動器の慢性疼痛の有症率は15.4%。年齢別にみると3050代の働き盛り、地域別では大都市で有症率が高いことが明らかになった。有症者で治療を受けているのは42%。医療機関が19%、民間療法が20%で、治療期間は1年以上が70%と長期化していることが判明した。

中村氏はさらに、2011年に実施した追跡調査の結果を発表。これによると、慢性疼痛持続者の約6割は最初に医療機関を受診するが、重症度など違いはあるものの満足度は民間療法より低く、30%が民間療法に治療を変更していた。中村氏は民間療法に流れてしまう状況を問題視した上で、「整形外科の忙しい日々の臨床の中で、スキンシップやコミュニケーションが足りないことが要因の1つではないか」と指摘。また、「電気治療をし、湿布を処方しているだけでは民間療法と変わらない」として、待ち時間に疼痛の評価スケールであるPain detect scorePain Catastrophizing ScalePCS)、Hospital Anxiety and Depression scaleHADS)などを実施した上で、的確な診断を行うことが求められるとした。

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