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自動車・航空機への落雷時どのようにアースが働くか?【車のタイヤゴムには導電性があり,機体表面も導電性材料で覆われ両翼や尾翼の放電針で放電】

No.4868 (2017年08月12日発行) P.62

岡野大祐 (東海大学熊本教養教育センター教授)

登録日: 2017-08-09

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  • (1)雷が自動車に落ちても「ファラデーの籠」の原理で金属を通って地面へアースされ,人間は安全とのことですが,タイヤはゴム製でワイヤーがタイヤに含まれていて電流を流すということでしょうか。
    (2)航空機(炭素繊維強化プラスチックですが,表面が薄い銅メッシュで覆われているとのこと)に雷が落ちたときはどこにアースされるのでしょうか。

    (埼玉県 I)


    【回答】

    (1)自動車への落雷

    金属などの良導体は,あらゆる箇所で電位差がゼロの等電位状態を保とうとする性質があります。導体に電気(正しくは電荷と言う)が流入しようとすると,同符号の電荷同士は反発して導体内部には存在できないため,導体表面に等分配されながら電流として流れることになります。この性質は,英国のマイケル・ファラデーが発見し,「ファラデーシールド」または「ファラデーケージ」として電磁波遮蔽に応用されています1)

    タイヤを雷電流が通過する際,ゴムは不導体であるため,内部に侵入するよりもタイヤ表面を経由するほうが,はるかに放電抵抗が小さく,タイヤの沿面放電によって大地に放流されます。ちなみに乗用車等のタイヤゴムは,接地面には他の部分よりもやや導電性を持たせてありますので,車内で発生した帯電電荷が緩やかに放出されます。図1にタイヤ接地面とホイール金属間の抵抗測定例と測定結果(67MΩ)とを一例として示しています。

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