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(1)院長は安全配慮義務を負う【第3章 小規模組織経営者が知っておくべきメンタルヘルス関連制度と事例】[特集:診療所職員のメンタルヘルス対策]

No.4705 (2014年06月28日発行) P.66

編集: 奥田弘美 (精神科医(精神保健指定医)/日本医師会認定産業医)

上村紀夫 (医師,日本医師会認定産業医,経営学修士(MBA)/株式会社エリクシア代表取締役)

登録日: 2016-09-01

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  • 本特集の冒頭部「はじめに」でも触れましたが,医院の院長すなわち使用者には,安全配慮義務が課せられています。労働契約法第5条には「使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする」と定められています。そのため,使用者は社員の生命や心身の健康が安全に保たれるように配慮しなければならないという義務を負っているのです。これが安全配慮義務(健康配慮義務)であり,職場のメンタルヘルスを考えるにあたり最も重要な法的義務の1つとなります。
    危険作業や有毒物質への対策はもちろんのことですが,過重労働による健康被害への対策も使用者の安全配慮義務に当然含まれています。実際,職場における長時間労働,パワハラ,セクハラなどによって,うつ病をはじめとするメンタルヘルス系疾患が発生したり,重篤な健康被害(脳疾患や心臓疾患など)が発生したりした場合,会社が安全配慮義務違反に問われ多額の損害賠償を命じられる判例が多数存在しています。
    まず有名な裁判例を2つご紹介しましょう。

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