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広域からホームページ経由で患者を集めるべきか?~整形外科医のケース[〈失敗から学ぶ〉医療機関ネット戦略のケーススタディ(10)]

No.5285 (2025年08月09日発行) P.52

河村伸哉 (株式会社日本経営 Wevery! 創業者)

登録日: 2025-08-07

最終更新日: 2025-08-05

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ご相談内容
運動器リハビリテーションを中心とした整形外科クリニックを開業して半年が経ち,保険診療の患者数は徐々に増え,安定感が出てきました。今後は自由診療の一環として,膝の再生医療に力を入れたいと考えています。
そのような中で,あるWeb制作会社から「再生医療は広域からの集患が効果的」との提案を受け,膝治療に特化したランディングページ(LP)を作成し,広告も出稿しました。実際に遠方からの問い合わせや来院もありますが,次のような課題を感じています。
  • 遠方からの来院など,これまでと異なる層の患者が増えている
  • 「話だけ聞きたい」「資料だけほしい」など,治療につながらないケースが多い
  • 結果的に歩留まりが悪く,広告費もかさんでいる

こうした状況から,現在の費用対効果に疑問を感じており,今後の戦略について,アドバイスを頂ければ幸いです。
河村よりご回答
自由診療だからといって,「ホームページを使った広域集患」が最適とは限りません! 今回のように,確かに遠方からの来院はあるものの,「なぜその患者が遠方から来院したのか」を冷静に見きわめることが重要です。実際,初診のクリニックで治療を断られた方や,対応が難しいと判断された方が流れてくるケースも多くみられます。膝の再生医療は,患者の期待が高く,継続的な通院が前提となる治療です。そのため,次のような問題が起こりやすくなります。
  • 一度の相談で終わってしまう遠方からの来院患者
  • 信頼関係を築きにくい患者
  • スタッフとの相性によるトラブルのリスク

遠方からの来院患者はリピート率が低く,紹介や口コミにもつながりにくい傾向があります。特に,高齢者が中心となる膝治療では,通院自体が負担となりやすく,継続的な関係が築きにくいというのが現実です。膝の再生医療や多血小板血漿(PRP)は,多くの整形外科で提供されるようになっており,治療そのものの稀少性は低くなってきています。
今後は「クリニックの理念に共感し,通院を継続することができる地元患者」を軸にした体制づくりこそが,クリニックの負担軽減と安定経営の鍵になると考えます。

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