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(4)休職から復職の流れ【第2章 あれ?おかしいな。メンタルを病む兆候とその対策ーうつ病を中心にー】[特集:診療所職員のメンタルヘルス対策]

No.4705 (2014年06月28日発行) P.61

編集: 奥田弘美 (精神科医(精神保健指定医)/日本医師会認定産業医)

登録日: 2016-09-01

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  • 1 もし職員が「休職を要す」の診断書を持ってきたら

    メンタルクリニックを受診した職員がうつ病の診断書をもらってきました。


    こういった内容で,うつ病(もしくは抑うつ状態,適応障害など)と診断された職員が休職の診断書を提出してくることは少なくありません。さあ,院長はどう処理されますか?
    休職の診断書が提出された場合は,必ず即休職させなければなりません。どんなにその人が重要な仕事を担っていたとしても,代替要員がすぐに手配できないとしても即日休職をさせるべきです。人手の少ない中小企業では「あと1週間だけでも来てもらえないだろうか?その間に次の担当者を立てて引継ぎしてもらうから」と頼むケースが時々見られますが,これは非常に危険です。万が一その期間に職員の症状が悪化したり,不測の事態が起こったりした場合,使用者は「安全配慮義務違反」として厳しく責任を追及されかねません。
    うつ病をはじめメンタルヘルス系の疾患で休職の診断書が出る場合,かなり本人の集中力や注意力が落ちていると思われるため,診断書を無視して出勤させていると思わぬ事故を起こす可能性も少なくないのです。このことを使用者や上司はしっかり認識し,主治医からの診断書にできる限り速やかに従って下さい。
    医院のような小規模組織では,休職制度そのものが整っていないという施設も少なくないと思います。職員の休職制度については第3章p74に詳しく解説していますので,そちらをご参照下さい。小規模な医院であっても,不測の事態に備えて休職制度や就業規則の整備をなさることをお勧めします。
    高度ストレス社会化している現代ではメンタルヘルス系疾患が発生する可能性がどんどん高まっています。少人数で職場を回している医療現場ほど,万一の場合に対する備えが必要です。いくら優秀でベテランだからといって1人の職員に重要な業務を集中させないようにして下さい。職員の誰もがその部署の仕事はある程度把握していて,万一の場合には代行できるように,スキルや役割の平均化を常日頃から実践しておくことが必要です。

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