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パスポート写真の背景色が決められている理由は?【大多数の国では白,オフホワイト,薄グレーなどを推奨】

No.4853 (2017年04月29日発行) P.62

陳 天璽 (早稲田大学国際学術院教授)

登録日: 2017-04-26

最終更新日: 2018-11-27

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  • パスポート写真の背景が赤でなければならないと規定している国があるようですが,外交・防犯上で何か意味がありますか。各国の現状を教えて下さい。

    (大阪府 C)


    【回答】

    パスポートやビザに使われる写真の背景の色の規定は国により若干の違いはありますが,大多数の国は白,オフホワイト,薄グレーなどを勧めています。たとえば,日本,米国,カナダ,ブラジル,ミャンマー,インド,サウジアラビア,イタリア,イランなどが挙げられます。欧州のシェンゲン(Schengen)協定加盟国も薄グレー,マレーシアは青が推奨されています。インドネシアのようにパスポート写真には赤,ビザ写真には白と,違った背景色を規定している場合もみられます。

    一方,各国共通して,パスポート写真の背景として望ましくないと考えられているのは以下です。背景に柄があること,服の色と背景が被っていること,背景に影やモノが入っていること,人物と背景の境界が不鮮明であることなどです。よって,背景を白や薄い色に規定している国の場合,パスポート写真を撮る際には白い服を着るのは望ましくないとされています。

    なお,写真の背景を白,赤,青色でかつ無地と規定しているのは,本人の顔を鮮明にするためです。背景と本人の境界をはっきりさせることで,本人確認がしやすくなりパスポートチェックの効率が上がり,また偽造を防ぐなど防犯にも役立つと考えられています。

    このように,パスポート写真の一番の目的は本人照合です。日本でパスポートに写真が貼られるようになったのは1917年からです。それまで写真という技術がなかったため,本人特定のため身体的特徴,たとえば身丈や目や鼻の大きさ,顔にほくろや特徴があるかなどが記されていました。1920年,パリで行われた会議においてパスポートの国際的な基準が発表され,1926年には現在のような手帳型となり写真が貼られるようになりました。

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