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誤嚥性肺炎により寝たきりの患者への抗パーキンソン病薬の意味は?

No.4832 (2016年12月03日発行) P.62

勝又俊弥 (勝又医院院長/日本医科大学神経・脳血管内科 非常勤講師・連携准教授)

登録日: 2016-11-30

最終更新日: 2016-11-29

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  • 誤嚥性肺炎患者を紹介されることが多いのですが,胃瘻,寝たきり,発語なしの患者で多量の抗パーキンソン病薬を投与されている方を散見します〔たとえば,ドロキシドパ(ドプス®OD) 600mg/日,L-ドパ/カルビドパ(メネシット®)600 mg/日,カルバマゼピン(テグレトール®)600mg/日〕。寝たきりになった原疾患でも違うとは思いますが,継続することにメリットがあるでしょうか。

    (質問者:鹿児島県 Y)


    【回答】

    誤嚥性肺炎を呈し,寝たきり状態あるいは経管栄養を受けている患者さんに,脳血管障害やパーキンソン病を含む神経変性疾患はよく見受けられます。ご質問の症例には抗パーキンソン病薬が投与されていることから,パーキンソン病などのパーキンソニズムを呈する基礎疾患があると思われ,パーキンソン病を想定して述べます。

    パーキンソン病の治療は,L-ドパやドパミンアゴニストを中心に,進行状況に応じていくつかのドパミン補助薬を組み合わせます1)。しかし,治療期間が長くなると,wearing-off現象,不随意運動などの運動合併症や幻覚・妄想などの精神症状の出現により薬剤の調整や減量を余儀なくされ,疾患の進行とともに日常生活動作(activities of daily living:ADL)が低下してきます。寝たきりに近い段階になると運動症状の改善はあまり見込めず,様々な抗パーキンソン病薬を工夫して投与しても効果がはっきりせず,副作用が目立つことも多くなります。また,施設などではドパミンアゴニストやセレギリン塩酸塩,エンタカポン,ゾニサミドなど高額な薬剤は使用しづらく,L-ドパを中心とした治療になると思われます。

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