編集: | 高橋幸利(静岡てんかん・神経医療センター院長・小児科) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 280頁 |
装丁: | 単色部分カラー |
発行日: | 2022年07月11日 |
ISBN: | 978-4-7849-5835-1 |
版数: | 第1版 |
付録: | 電子版付き |
1章 てんかん診療の流れ
1. てんかんの発病,診断,治療,治療終結のフローを知ろう
2章 てんかん発作の分類
〈1〉目撃者・患者からの発作観察情報が大切
1. 患者・目撃者への問診の仕方を教えて下さい
2. 発作観察・記録のポイントを教えて下さい
3. 発作で搬送された患者についてどんな所見を確認しますか?
〈2〉てんかん発作と間違いやすい症状・疾患
1. 失神
2. 認知症状
3. 心因性非てんかん発作
4. 夜驚症などの睡眠随伴症
5. 低血糖
6. 脳炎の急性症候性発作
7. 頭痛
〈3〉よくある発作症状とその発作型分類・発作焦点
1. ボーッとしている
2. 嘔気
3. 眼球や頭部が側方へ動く
4. 視覚・聴覚の症状:何かが見える,聞こえるなど
5. デジャビュ・ジャメビュ
6. 手足に力が入る,けいれんする
7. 恐怖感
〈4〉てんかん発作型診断のための検査
1. 脳波検査
2. MRI検査
〈5〉てんかん発作か診断できないとき
1. 初回発作などで臨床情報が乏しいとき
2. 脳波異常が見つからないとき
3. 脳波異常の部位と発作症状が一致しないとき
3章 てんかんの分類―発作型からてんかん分類・症候群分類へ
1. 小児欠神てんかん
2. 中心・側頭部棘波を示す小児てんかん(ローランドてんかん)
3. 若年ミオクロニーてんかん
4. 内側側頭葉てんかん
5. その他よく診るてんかん
4章 てんかんの薬物治療
1. 抗てんかん薬の作用機序分類を教えて下さい
2. 発作型ごとの薬剤選択を教えて下さい
3. 基礎疾患(病因)による薬剤の選択を教えて下さい
4. 実際的な薬剤投与について教えて下さい
5. 併存症がある場合にどのような薬を選びますか?
6. 眠気の副作用が出たときはどうしますか?
7. 行動・精神の副作用が出たときはどうしますか?
8. 血中濃度はどのようなときに測りますか?
9. 抗てんかん薬で発作が止まらないときはどうしますか?
10. 発作が止まっています。薬をやめること,減らすことはできますか?
11. 発作時のレスキュー薬はどのように処方・指示しますか?
5章 社会生活
1. 運転免許はどのように許可判断をしますか?
2. 熱性けいれんの小児で坐薬の使用はどのように指導しますか?
3. 就労について制限はありますか?
4. 妊娠計画への指導はどのようにしたらよいですか?
5. コミュニケーションの障がいで困っている患者・家族にどうアドバイスしますか?
6. アルコールや食べ物で注意するものはありますか?
索 引
てんかんは年間10万人当たり33.3人発病し,1,000人当たり5.3~8.8人の有病率と言われています。てんかん発作が抑制でき,治療も終了(終結)できる割合は5%程度で,他の疾患に比べて完治する割合が低いため,多くの患者が一生涯内服治療を継続することになります。そのため,てんかん患者が他の疾患に罹患し,てんかん以外の診療科を受診すると,普段てんかんを診ていない臨床医の方も抗てんかん薬について調べたり,てんかんの状態を問診したりすることになります。
また,内服治療を行ってもてんかん患者の37%はてんかん発作が抑制できないとされており,てんかん発作と日々向き合わなければならない患者が多数存在します。そのため,発作によって救急外来を受診したり,発作による外傷などで外科的処置が必要になったりと,切迫した場面でてんかんを専門としない臨床医の方にご対応頂かなければならないこともあります。
多くの臨床医の方に,てんかん診療の基本的な事項を覚えておいて頂けると,win-winの関係が生まれます。本書では,基本的なことをなるべく簡単にお伝えできるよう,これまでのてんかんの成書とは異なる項目立てとしました。てんかん患者の人生には,てんかんを専門とされない多くの臨床医の方のご支援が不可欠です。拙著が多少なりともお役に立てれば幸甚に存じます。
2022年4月
鶯の声が日増しに美しくなっている漆山にて
静岡てんかん・神経医療センター院長・小児科 高橋幸利