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パーキンソン病(PD)における嗅覚障害 【PD患者の約7~8割にみられる重要な非運動症状で,PDの診断にも有用】

No.4811 (2016年07月09日発行) P.49

高橋一司 (埼玉医科大学神経内科教授)

登録日: 2016-07-09

最終更新日: 2016-10-29

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Parkinson病(PD)における嗅覚障害の重要性が高まっている。PDの疾患概念の中核は運動障害であるが,ほとんどの患者で多彩な非運動症状がみられる(文献1)。特に嗅覚障害は,PD患者の約7~8割にみられる重要な症状である。PDの発症前駆期(prodromal phase)に出現している可能性が高く,PD診断時には既に完成していることから,病期の進行の影響は受けないと考えられている。病巣部位は,嗅球から扁桃体を含む大脳辺縁系へ及ぶとされる。
国際Movement Disorder Societyから発表された最新のPD臨床診断クライテリアで,嗅覚消失は支持的徴候のひとつとして取り上げられるに至った(文献2)。診療の際に注意すべき点は,多くの患者は嗅覚低下を自覚していないため,問診だけでは見逃してしまう可能性が高いことである。したがって,可能であれば初診時,少なくともPDと診断するまでの病初期の段階で,嗅覚検査を施行することが勧められる。
PDが疑われる患者の初診時には,ぜひ,第Ⅰ脳神経の嗅覚に関する問診や診察に留意して頂ければ幸いである。

【文献】


1) Barone P, et al:Mov Disord. 2009;24(11):1641-9.
2) Postuma RB, et al:Mov Disord. 2015;30(12):1591-601.

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