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重症筋無力症患者のステロイド性骨粗鬆症とQOL

No.4768 (2015年09月12日発行) P.51

鈴木重明 (慶應義塾大学神経内科専任講師)

登録日: 2015-09-12

最終更新日: 2016-10-26

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重症筋無力症(MG)は神経筋接合部でのアセチルコリン受容体や筋特異的チロシンキナーゼへの自己抗体が原因で,最も頻度の高い神経免疫疾患である。2014年に『重症筋無力症診療ガイドライン』が改訂され,ほかの免疫療法を併用しステロイドの投与量を極力減らすことが推奨されるようになった。
これまで大量のステロイドによる治療が行われてきたため,脊椎圧迫骨折など骨粗鬆症の副作用が大きな問題となっていた。MGでは骨粗鬆症性骨折の有意な上昇はない(英国)と,頻度が高い(台湾)との,相反する研究結果が存在する。いずれも登録データをもとにした統計研究で,MGと骨粗鬆症に関する臨床特徴や,QOLへの影響の解析は行われていなかった。『ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン』も2014年に改訂され,より適切な骨粗鬆症対策が求められている。
筆者らは,多施設共同横断研究としてMG患者363例(男性116例,女性247例,平均年齢56.5歳)を対象に,MGと骨粗鬆症との関連を明らかにした(文献1)。ステロイド治療歴を有するMG患者を骨折群と非骨折群にわけて臨床像を比較した。骨折群では,非骨折群と比べてMG罹病期間が長い,MGが重症,ステロイド治療期間が長い,骨密度(大腿頸部)が低い,血清NTx高値,などの特徴があった。疾患特異的なQOL評価を行った結果,骨折群では非骨折群に比べて著しく障害されていた。
ステロイド性骨粗鬆症による骨折がMG患者のQOLに大きな影響を与えている点を考慮に入れ,MG患者の管理を行うことが必要である。

【文献】


1) Konno S, et al:PLoS One. 2015;10(5):e0126579.

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