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和食での海老の正しい食べ方は?【箸で食べにくい場合は手で頭と殻を外してOK】

No.4780 (2015年12月05日発行) P.68

菊池かをる (一般財団法人日本ホテル教育センター 事業本部和食研究室主席研究員)

登録日: 2015-12-05

最終更新日: 2016-12-14

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【Q】

和食のマナーの質問です。殻のついた海老を食べるときの正しい作法を教えて下さい。右手でお箸を持つならどうしても左手で食べ物を直接触らないといけなくなりますが,よいのでしょうか。 (兵庫県 K)

【A】

海老は,彩りが美しく,目が出ていることから目出度いに通じ,またひげがあって腰を曲げた姿が長寿に通じることから縁起物として,お祝いなどにもよく用いられる食材です。
料理店などでは,殻が剥かれて食べやすい姿で出されることが多くありますが,頭や殻のついたままで調理された海老が出されることもあります。
改まった席で出される場合は,あらかじめ包丁を入れて剥きやすくしてありますし,伊勢海老などは調理の段階で一度身を外し殻に戻すなど,食べやすく調理されていることもあります。こうした場合は,箸でも簡単に外していただくことができます。そうでない場合には,殻を剥くときに手で扱ってもかまいません。
鬼殻焼きなどは,身の開かれた状態で調理されていますが,箸で殻から身を外すのが難しいことがあります。こうした場合には手を使ったほうが無難です。現在では,手を使うような料理にはおしぼりが用意されますので,汚れた手はおしぼりで拭きます。また,手を使うことに抵抗があるようでしたら,懐紙をお持ちになり,懐紙で海老の頭を抑えながら箸で身を外すとよいでしょう。
両手で頭と殻を外したら,食べるときには箸を使っていただきます。まず,手で海老の頭を外します。頭の先のほうを持って折るようにします。殻を剥くときは,頭を取ったあたりを腹のほうから海老の身の周りをぐるりと外すようにして剥きます(図1)。外した頭と殻は皿の隅に寄せて置きます。
殻を剥いた海老は皿の上に一度置きます。殻を剥いた手でそのまま海老を持って食べないようにしましょう。おしぼりで手を拭いて,改めて箸で取り上げて口に運びます。
レモンなどの柑橘類が添えられている場合は,好みで搾りかけますが,その場合は汁が飛び散らないように,左手で覆うようにします。
海老は一口で食べられませんし,箸で切ることもできませんから,食べるときには,かみ切ることになります。かみ切るときには,もう片方の手で口元を隠すようにします(図2)。また,かみ切った海老は皿に戻さずに,そのまま食べ切るようにします。
海老の頭の部分にあるみそや,海老の尻尾の部分はおいしいものですが,改まった席でしゃぶるのは避けましょう。付け合わせに添えられるはじかみ生姜などは口直しですから,最後にいただきます。
食べ終えたら,食べ終えた後の皿の様子が見苦しくないようにしておきます。頭や尻尾,剥いた殻などは,添えられた木の葉などで覆っておくと見た目もよくなります。

【参考】

▼ 一般財団法人日本ホテル教育センター, 編:和食検定基本編準拠テキスト 和食検定基本編. プラザ出版, 2011.

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