厚生労働省は4月23日、「在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の実施状況調査」の結果を中央社会保険医療協議会総会に報告した。調査は2024年度診療報酬改定の効果検証を目的としたもの。在宅医療ではICTによる関係機関等との連携体制構築を促す各種見直しが行われたが、新設の「在宅医療情報連携加算」の届出は回答医療機関の2割程度にとどまった。
在宅医療に関する調査は在宅療養支援診療所・病院、在宅療養後方支援病院などを対象に実施。これら施設の連携先である介護事業所等にも調査票を配布し、連携の実態も調べた。
結果をみると、緊急時の入院受入機能を備えた医療機関との連携にあたって常時閲覧可能なシステムによるICT連携体制の有無についての質問で「ある」と回答したのはわずか23.1%。最も多かった回答は「ICT連携はないがそれ以外の方法で診療情報を共有している」との回答で全体の40.9%を占めた。
24年度改定では「在宅時医学総合管理料」「施設入居時医学総合管理料」などの届出医療機関の医師が、他院の関係職種とICTを用いた情報共有などを行った場合の評価として「在宅医療情報連携加算」が新設された。回答医療機関における同加算の届出状況をみると、届出ありは21.6%、届出なしは67.8%。届出をしない理由で最も多かったのは「ICTを活用した患者の診療情報等の共有体制の確保が困難であるため」(65.5%)、次いで「特別な関係でない連携医療機関数が5未満であるため」(25.1%)だった。
一方、介護事業所等との連携状況調査によると、連携先の施設種別で多かったのは「訪問看護ステーション」(34.9%)、「保険薬局」(24.6%)、「特別養護老人ホーム」(8.6%)など。これら事業所等のうち、関係機関との平時からの連携において常時閲覧可能なシステムによるICTを用いた連携体制を構築していたのは、およそ半数の48.2%だった。ICTを活用した情報共有・連携における課題では、「電子カルテシステムや他のシステム等と連携できない」(43.8%)、「ICTの活用に係る職員のノウハウが不足している」(42.6%)、「連携している医療機関ごとに異なるシステムを使用しているため、整備に負担がある」(41.4%)などの回答が上位となった。