厚生労働省は5月19日の社会保障審議会介護保険部会に、2040年に向けたサービス提供体制に関する論点を提示した。このうち中山間・人口減少地域における配置基準の弾力化については、配置減による職員の負担増を危惧する意見があることを踏まえ、事前にモデル事業などを実施して影響を検証する考えを示した。
「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会」が4月に中間とりまとめを行ったことを受け、部会では次期介護保険制度改正の内容を固めるための議論が進められている。同日は、①人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築や支援体制、②介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営支援―について、厚労省が主な論点を提示した。
①について中間とりまとめは、高齢者人口の増加スピードやサービス需要動向の地域差に着目し、全国を中山間・人口減少地域、大都市部、一般市等の3つの地域類型に分けた上で、それぞれの特性に合った対策を講じる方針を打ち出している。その実現のため論点は各地域類型の基準について、中山間加算のような既存制度や医療における重点医師偏在対策支援区域等の考え方も参考にしながら検討することを課題に位置づけた。
地域類型別の施策では、中山間・人口減少地域のサービス提供体制を維持するための対応として、各サービスにおける常勤・専従要件、夜間勤務の体制、専門職の確保等に関する基準の弾力化、弾力化で配置減となる場合の職員への影響を検証するモデル事業の実施やサービスの質が保たれているかを把握する仕組みの検討、訪問・通所サービス間での人材の行き来が容易になるような連携・配置基準の弾力化などを提案。
サービス需要の急増が見込まれる大都市部については、重度の要介護者や独居高齢者向けにICT技術等を活用した24時間対応の包括的サービスを検討することを求めた。