病院関係15団体で構成する日本病院団体協議会(日病協)と日本医師会は5月23日、医師・歯科医師・薬剤師が「HPKIセカンド電子証明書」を用いて電子処方箋にリモート署名できるようにするサービスが今年4月から有償化されたことは「(電子処方箋)普及促進の流れに逆行する」として、有償化の見直しを求める要望書を厚労省に提出した。
電子処方箋の署名方法には、医師等のHPKIカード(電子証明書)をカードリーダにかざして署名を行う「ローカル署名」と、クラウドで管理されている電子証明書(HPKIセカンド電子証明書)を呼び出して署名を行う「リモート署名」がある。
厚労省は「1日1回の本人認証で電子署名が可能になる」などとしてリモート署名を推奨してきたが、サービスを提供する医療情報システム開発センター(MEDIS)は今年1月、リモート署名サービスを4月から有償化すると発表。年度ごとのサービス利用料は税込で①診療所・保険薬局1.1万円、②400床未満病院5.5万円、③400床以上病院11万円─にすることを決めた。
日病協は3月の代表者会議で、有償化の理由についてMEDISに説明を求め、「公的補助金が年々減少し、2024年は補助がなかったこと」などが背景にあることを確認した。
要望書で日病協と日医は「医療DXの基盤となるサービスを有償化することは、(電子処方箋)普及促進の流れに逆行する」「災害対応実装によるさらなる費用増も予想され、今後の電子処方箋利用そのものへの不安も生じている」と指摘。「有償化の見直し」とともに、サービス提供者に対する「公的補助の再開」を求めている。