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サルコペニア・廃用症候群の予防とケア[私の治療]

No.5168 (2023年05月13日発行) P.48

若林秀隆 (東京女子医科大学病院リハビリテーション科教授)

登録日: 2023-05-15

最終更新日: 2023-05-09

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  • サルコペニアとは,進行性および全身性に生じる骨格筋疾患で,転倒,骨折,身体機能障害,死亡などの不良の転帰と関連する。廃用症候群とは,疾患やその治療などのために活動性や運動量の低下した安静状態が続くことで,全身の臓器に生じる二次的障害の総称である。病院で離床が可能な全身状態にもかかわらず,医師による安静の指示でサルコペニアや廃用症候群となった場合や,医師による不適切な栄養管理のために栄養状態が悪化してサルコペニアや廃用症候群となった場合は医原性である。在宅では,閉じこもりがちな生活や不十分な栄養摂取でサルコペニアや廃用症候群を生じやすい。

    ▶アセスメントのポイント

    サルコペニアは,低筋肉量を認め,低筋力もしくは低身体機能を認めた場合に診断する。在宅での筋肉量評価は,下腿周囲長が現実的である。下腿で最も太い場所の周径をメジャーで計測して,男性34cm未満,女性33cm未満の場合に低筋肉量と判定する。また,握力が男性で28kg未満,女性で18kg未満であれば低筋力と判定する。5回椅子立ち上がりテストが12秒以上であれば,低身体機能と判定する。

    廃用症候群は,筋萎縮,骨粗鬆症,関節拘縮といった運動器だけでなく,心臓機能低下,起立性低血圧,深部静脈血栓症,摂食嚥下障害,褥瘡,便秘,尿路感染症,抑うつ状態,高次脳機能障害など全身の機能障害を認めるため,多臓器の機能評価を行う。また,日常生活活動(ADL)に制限を認めるため,ADLを評価する。外科手術または肺炎などの治療時の安静があるため,診療報酬上では,治療開始時において機能的自立度評価表(functional independence measure:FIM)115点以下もしくはBarthel Index 85点以下の場合に廃用症候群としている。

    サルコペニア・廃用症候群とも低栄養を認めることが多いため,栄養状態を評価する。

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