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在宅医療での倫理事例[1]─意思決定能力がありそうながん患者への未告知は許される?[プライマリ・ケアの理論と実践(131)]

No.5103 (2022年02月12日発行) P.12

日下部明彦 (横浜市立大学総合診療医学准教授)

登録日: 2022-02-10

最終更新日: 2022-02-09

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SUMMARY
客観的に意思決定能力は十分あると思われる患者に,家族の意向でがんの病名告知をしないことは医療倫理的に許されるのだろうか?意思決定能力は誰が判断するのだろうか?医療倫理の原則とは何のためのものか?

KEYWORD
意思決定支援
意思決定支援とは,本人の意思決定能力に合わせ,質問内容や言葉遣い,尋ねる場所・時間・人物などを配慮し,本人の意向をあぶり出していく作業である。

日下部明彦(横浜市立大学総合診療医学准教授)

PROFILE
緩和ケア病棟長,在宅療養支援診療所常勤医を経て,現在は横浜市立大学総合診療医学教室で主に学生教育をしている。附属病院臨床倫理コンサルテーションチームリーダー。日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医,日本内科学会総合内科専門医,日本緩和医療学会専門医。

POLICY・座右の銘
破壊なくして創造なし

1 意思決定能力の有無とは?

筆者は2020年11月から臨床倫理コンサルテーションチーム(CECT)を立ち上げ,活動している。院内ではまだ「どのようなことが倫理的問題なのか?」という段階のため,2021年10月現在のコンサルト状況は,月平均2〜3件である。件数は少ないながらも,既によくある相談内容は際立ってきており,それは「意思決定能力のない患者に対する意思決定支援」についてである。

意思決定能力がない原因としては,認知症,精神疾患,精神発達遅滞,病状による意識障害(せん妄)がある。この相談に対する当臨床倫理コンサルテーションの回答は,「まずは意思決定能力があるか?ないか?の二元論ではなく,どれくらいあるのか?と考えるように」というものである。認知能力はグラデーションの中にあり,100か0ではない。高齢者は誰しも記憶力の低下はあろうが,今も記憶力がないわけではない。認知症の方の認知機能をここからは「なし」と扱うというカットオフ値などない。意思決定支援とは,本人の意思決定能力に合わせ,質問内容や言葉遣い,尋ねる場所・時間・人物などを配慮し,本人の意向をあぶり出していく作業である。







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