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【最新!中学受験コラム】私立高校授業料無償化時代が到来!中学受験の最新トピック2025─森上教育研究所 森上展安代表[日本医事新報特別付録 医学部進学ガイド「2026年度受験版 医学部に強い中高一貫校・高校」]

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登録日: 2025-06-16

最終更新日: 2025-06-09

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医学部人気の高まりを受け、医学部受験はここ15年で劇的に難化しました。
受験競争は年々早期化が進んでおり、医学部受験に強い中高一貫校や高校への進学が、医学部合格への近道となりつつあります。
そこで!Web医事新報では医学部を目指す受験生や受験生をお子さんに持つ保護者の方に向け、医学部への進学実績・合格率に定評のある中高一貫校・高校をご紹介します。
(日本医事新報特別付録・医学部進学ガイド「2026年度受験版 医学部に強い中高一貫校・高校」の全文はこちらから無料でダウンロードできます)

大阪では中受受験生が7%増

首都圏の私立中学受験は新らたな段階を迎えようとしています。25年入試では東京都と大阪府では私立高校にかかる教育費について年収に関係なく一定額を支給する、という状況下で、中学入試が実施されました。私立高校の授業料平均額をすべての私立高校通学者に支援する東京都と、大阪府は授業料プラスそのほかの費用も含めた一律の金額を支給する、という違いはありますが、私立高校通学者の学校教育費は大幅に軽減されることになりました。

さらに来年からは全国で(恐らく東京方式で)年収制限なしの授業料等の支給がなされることが決まりました。26年入試にこれがどう影響するかは、一年早く結果的に実施したことになった東京・大阪の今年の入試の変化をおさえておくとよいでしょう。

即ち、結論から言うと大阪府では顕著な影響があり、東京都では特に大きな変化はありませんでした。関西では従来大阪府のみが私立中学受験は低調、むしろ兵庫、京都、奈良の方が盛んという傾向がありましたが、この就学支援金が大阪府のみで実施された結果、大阪府の私立中学受験生が前年比7%も伸びる一方、兵庫、京都、奈良はむしろ全体的にやや減少したそうです。この大阪の異常な伸びの原因は支援金の年収制限撤廃によるものと受け止められています。

東京圏は中位校が20%強も受験者増

一方、東京は2月1日の受験者数はほぼ変化はありませんでした。

ただ東京の女子校中心に中位校が20%強の伸びとなり、男子校、共学校でもいくつかの中位校がかなり急伸しました。これらの中位校の急伸の理由はこれといって明確ではありません。まさに中位校で受け易い、といったこと。あとは立地で交通至便なところばかり。今春の入試は難関校、準難関校はほとんど前年比では伸び悩み、また、前述したとおり全体でもほとんど変化がありませんから、余計にこの中位校受験者数の大幅な増加は説明がつきにくいのも事実です。

筆者の推理は、上述の流れからご推察の通りこの急増の原因が少なからず東京都の年収制限なしの支給の影響ではないか、と考えています。大阪府が中位校の増であったということも上記の推論の傍証と考えます。

なぜ中位校かといえばやはり支給が決まってその翌年の入試だ、ということですね。中位校なら準備1年で合格できる受験生は少なくないと考えられます。

そして来年入試です。当然ながら千葉、埼玉、神奈川の、特に東京隣接(その意味では東京の三多摩もそうです)で、従来は公立志向の強かったこれらの地域は特に中位程度の私立中学需要がはっきりしてくる可能性があります。

例えば茨城の江戸取、埼玉の獨協埼玉、千葉の東邦大東邦、神奈川の東海大相模、東京多摩の東海大菅生、東京西部の北里大学付属順天、獨協、順天堂大学系属理数インター、東海大浦安など、系列の大学医学部に進学できることを鮮明にしている中高一貫校はその影響が出やすいのではないか、と思います。なぜならその多くが難関というわけでなく、概ね中位から中堅の難度だと考えられるからです。

また、入学した場合の集団の中での優良な成績が前提ですが、そこはそれほど難しくはありません。では倍率は高いのか、ということになりますが、上記の中では東邦大東邦が難度で、獨協と北里大学順天が倍率で、高くなる程度で中学受験というくくりで言うと少し頑張れば合格できる状況です。正しく中位の学校が大半と言えます。

これらの医学部系列の中高校の最大のメリットは大学受験で一般入試に挑戦して合格するよりはハードルが低い、ということです。ただし、順天堂大学系属理数インターだけは共通テスト相応の成績が推薦基準になっているため、他の医学部系列の中高から医学部を目指すよりはややハードルが高いとは言えます。とはいえ、共通テストはいわゆる難問が出されるわけでもありません。むしろ良問つまり取り組みがいのある問題ですし、他大学の共通テスト利用入試の対象にもなりますから、いわゆる難関医学部向けの対策は不要であり、その意味でやはりハードルは低くなります。

医科系大学系列の中高一貫校は人気が浮上

こうして東京都内はもちろん、東京周辺域で中学受験のメリットが分かりやすい医科系大学系列の中高一貫校は改めて人気が浮上するでしょう。

一方で中学受験の難関校として医学部実績の高い学校は倍率自体は2倍後半で現在の中学受験の平均的なものですが、なんといっても入試のレベルが高い点でやはりハードルが高くなります。

女子校では桜蔭、豊島岡女子、雙葉、男子校では開成、駒東、海城、慶應普通部、巣鴨、共学では渋幕、渋渋、広尾、栄東などが代表格でしょう。これらの学校は入試傾向も難度も安定しており、対策は立てにくくはありませんが、合格レベルまで学力を持っていくことが簡単ではありません。とはいえ、男子校では海城や慶應普通部、巣鴨、女子校では雙葉、共学では栄東などはいわゆる習熟問題つまりよくトレーニングを極めれば合格点に達しうる問題が中心ですから、そういう意味では合格可能性が高い学校です。

あと新規開校する明星学苑(府中市)の明星インスティチューション中等教育部が渋幕の進学実績を出してこられた井上一紀校長が就任し、共学で70名募集します。渋幕のような学校にするとしてカリキュラム、教材、そして渋幕での指導経験者を中心に指導するとしており、期待を集めそうです。新年度はいきなり難関化はしませんから受け易いと思います。

さて最後になりますが、大手塾では月例テストがあり、そこで毎回正答率が設問ごとに出ます。できれば毎回、この正答率が50%以上の問題で間違えている箇所を少なくするように致しましょう。どんな受験生にもできますが、これをやるとやらないとでは結果大きく影響します。途は開かれています。

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