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移行期ケア[私の治療]

No.5063 (2021年05月08日発行) P.72

千田一嘉 (金城学院大学薬学部教授)

登録日: 2021-05-11

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  • 「移行期ケア」とはトランジショナル・ケア(transitional care)の訳語で,患者の病状変化やそれに伴う医療・看護・介護(ケア)の場とその提供者が移行する際(移行期)における,病院・入所施設・在宅など様々な現場での一貫した,かつ協調したケア(支援)を指す。

    移行期は患者の医療・ケアのニーズが大きく変化し,心身ともに機能低下や有害事象のリスクが高まるために,多職種協働の「移行期ケアチーム」で実践される移行期ケアの効用が提唱されている。「移行期」には,同一病院内でも,急性期病棟から地域包括ケア病棟に移行する場合のように,提供されるケアの程度や提供者が変わる場合も含まれる。

    病院から在宅や高齢者介護施設などに移行する際に,既往歴,処方内容,介護認定や医療・ケアの意向表明についての十分な情報共有なしに,単独の医療・ケアがなされる傾向が「医療・ケアの断片化(fragmentation)」の問題である。移行期ケアチームは,患者の持続的かつ複雑な病態のケアに精通し,正確かつ十分な情報提供に基づく患者の意思決定を支援・共有することにより,包括的な医療・ケア計画を立案し,その計画に基づいた切れ目なく,一貫した医療・ケア(支援)を実践する。

    ▶制度面の知識

    在宅がん患者,在宅酸素療法,人工呼吸器,透析,留置カテーテル,ストマ,重症褥瘡のある患者や進行認知症患者など,医療ニーズが高い患者が安心・安全に在宅療養に移行し,在宅療養を継続するために,病院の看護師などが退院直後に患家や介護保険施設を直接訪問して療養指導する「退院後訪問指導」の制度がある。

    退院後の安心な療養生活のために病院と在宅療養支援診療所の連携を強化する「退院時共同指導」の制度がある。
    「退院支援加算」の制度は,入院早期から退院直後まで切れ目のない支援を評価するために,2018年度より「入退院支援加算」に変更された。

    在宅医療の開始時に患者と家族の状況,療養環境とケアのニーズの確認とケアプランの策定のために,患者・家族,医師,訪問看護師,訪問薬剤師,ケアマネジャー,福祉用具専門相談員などによる「サービス担当者会議」が開催される。

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