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神経難病(パーキンソン病を除く)[私の治療]

No.5063 (2021年05月08日発行) P.24

吉野 英 (吉野内科・神経内科医院院長)

登録日: 2021-05-05

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  • 代表的な神経難病である筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と,多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)は根本的治療方法がなく,個人差は大きいが発症後3~5年で多くは呼吸不全により死亡する疾患である。身体介護および経管栄養や人工呼吸器などの医療依存度が大きいため,訪問看護,リハビリテーション,介護事業所,ケアマネジャーとの多職種連携が必須である。気管切開,人工呼吸器装着により長期延命が可能であるが,多職種で患者の意思決定を支援し,尊重することが重要である。

    ▶代表的症状

    ALSは喋りのもつれ,ムセなどの球症状発症の型と,手足の筋力低下で発症する四肢型にわかれる。進行すると呼吸筋を含め全身の骨格筋が筋力低下する。9割以上は孤発性であるが,遺伝性もある。中高年発症が多い。
    MSAはふらつきを主体とする小脳症状で発症する型(MSA-C)と,動作緩慢などパーキンソン症状で発症する型(MSA-P)にわかれる。起立性低血圧など自律神経症状主体のシャイ・ドレーガー症候群(Shy-Drager syndrome)もMSAに含まれる。

    ▶状態の把握・アセスメント

    ALS,MSAとも専門医療機関で診断を受けたのちに在宅医療を依頼される場合がほとんどである。ALSは体重減少が呼吸筋麻痺を増悪させる因子である。訪問歯科と連携し定期的に嚥下評価を行い,嚥下障害が出現しているようであれば,トロミがありカロリーの高い献立を勧め,保険で処方可能な高カロリー栄養剤も用いる。胃瘻造設は努力性肺活量が60%を低下すると施行にリスクが伴う。胃瘻は生活の質(QOL)を高め,呼吸不全が生じるのを遅らせることができるので,専門医との連携のもと積極的に受けることを勧めることが望ましい。MSAについても定期的に嚥下機能を評価し,誤嚥が生じるようになったら胃瘻を造設することが望ましい。

    ▶リハビリテーション

    ALS,MSAとも運動障害が主体であるので,リハビリテーションは重要である。しかし翌日まで疲れを残すほどの筋疲労は避ける。ALS患者では呼吸疲労が出現するようであれば非侵襲的補助呼吸器(NIPPV)を導入する。呼吸療法に慣れた理学療法士または看護師との連携のもと,夜間就眠時および日中も適宜装着することにより,良好なQOLを保つことができる。喀痰排出補助装置は自力で喀痰を出すことができない場合に有効で,胸郭を膨らませるリハビリテーションにも役立ち,NIPPV開始時に合わせて導入することが望ましい。
    一方MSA患者では呼吸不全が声門開大不全によることが多いので,NIPPVによる効果は限定的である場合が多い。
    両疾患とも言語障害も生じるので,言語聴覚士,作業療法士と連携してコミュニケーション手段を確保することが重要である。ALSでは眼球運動しか残らない場合があるが,視線入力装置などにより十分にコミュニケーションをとれる場合が多い。

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